【名手の名言】尾崎将司「ゴルフは“心・技・体”ではなく“体・技・心”の順なのだ」
レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、日本のゴルフ界を一変させた革命児「ジャンボ」こと尾崎将司の言葉をご紹介!
ゴルフは「心・技・体」ではなく
「体・技・心」の順なのだ
日本のゴルフ界を一変させた男がデビュー以来、言い続けている言葉である。
尾崎が現れるまではプロゴルファーは『職人』の世界であった。ところが、プロ野球界から身を転じた尾崎は強靭な肉体を駆使して、当時のパーシモンで300ヤードをかっ飛ばし、ジャンボと命名され、それまでの規格をすべて変えたのである。
結果、ゴルフ人気は沸騰し、トーナメントは毎週おこなわれるようになった。日本ゴルフ界に革命児が誕生した。
「体がまずなければ、高度なスキル(技術)も獲得することはできない。技術的に未熟なやつがいくら精神的に強くても、トーナメントに勝つことなどできはしない。まずゴルフをやる土台の『体』がなければ大成はできないんだよ」
日本のプロゴルファーがワザを重んじる職人だったのに対し、パワーと高度なスキルを競うスポーツプレーヤーとしてのアイデンティティを確立した言葉であった。
その言葉の通り、昨今のゴルフ界では「体づくり」が重視され、プロゴルファーだけでなくアマチュアゴルファーであってもゴルフのための体幹強化、筋力アップ、練習後のケアなどが当たり前になりつつある。
プロゴルファーは男女問わず4日間戦える体を作るために体重を増やすことさえトレーニングの一環となっている。「まずは戦える体を作る」日本ゴルフ界の革命児“ジャンボ尾崎”が言った通りになった。尾崎には当時からそんな未来が見えていたのかもしれない。
上手いゴルファーより強いゴルファーになれ
2008年、尾崎は当時17歳で1億円プレーヤーとなった石川遼にこの言葉を言った。
高校生であった石川遼は2008年のツアー前半は予選落ちを繰り返していたが、それは「急がば回るな!」という石川のモットーどおり、守ることなく攻め続けた結果だった。
そんな石川に「小さくまとまるな、ドライバーを目一杯振って攻めろ、今はゴルフの器を大きくするときだ」とエールとして贈った言葉がこの「上手いゴルファーより強いゴルファーになれ」である。
この年の日本オープンが象徴的だった。最終日、優勝し25勝目を挙げ永久シードを獲得した片山晋呉がドライバーを一度も使わなかったのに対し、石川はドライバーで果敢に攻め続け、4打差ながら2位まで追い上げた。実際石川はこの日のベストスコア「69」をたたき出したのだ。「安全」を突き抜ける破壊力のゴルフがそこには見えた。
プロデビューしてからずっとそうであった尾崎は、石川と自身が重なったのかもしれない。 プロ入り1年目だったその年、石川は2勝し獲得賞金も1億円突破の史上最年少記録を更新。そしてまもなく75歳を迎える今もなお、尾崎は笹生優花や原英莉花、西郷真央といった「強いゴルファー」を育み続けている。
■尾崎将司(1947~)
おざき・まさし。徳島県生まれ。幼年時から野球に熱中し、海南高では投手、4番バッターで甲子園選抜で優勝。卒業後プロ野球・西鉄ライオンズに入団するも芽が出ず、プロゴルファーへ転進。70年プロテスト合格。そこから天賦の才能は花開いた。05年10月の段階で勝利数113(海外1回)。賞金王になること12回。圧倒的な数字を残している。
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