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【わかったなんて言えません】Vol.61 杉山知靖#3「好きなだけ練習させてくれるゴルフ場に感謝」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週のゲストは先週に引き続き、9月のブリヂストンオープンで初優勝を飾った杉山知靖。ともにコースに所属している2人が、日々感じていることとは?

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名/杉山知靖

神奈川生まれ。ツアー1勝。明徳義塾、中央学院大卒業後、15年プロ入り。レイクウッドコーポレーション所属。“人柄”にも注目!

前回のお話はこちら

時松 杉ちゃんは大学にいったんだよね。どうだった?

杉山 どうだったって?

時松
 いや、僕ら九州のプロって大学にいく奴が少なかったから、杉ちゃんみたいに大学でアマチュアの試合に出て自信をつけていくゴルフ人生と、僕みたいに予選会で何回も失敗してたたき上げでいくのとどっちがよかったのかなと思ったんだけど。

杉山 それは源ちゃんみたいに高校時代にトップのほうでやっていたら卒業後にいきなりQTを受けていたかもしれないけど、自分はまだ早いと思った。大学4年間で自分のゴルフの土台をしっかり作ってからプロの世界にいこうと考えていたかな。

時松 中央学院にいったのは?

杉山 (東北)福祉大や日大のような強豪校にいく実力がなかったから。でも中央学院は普通に大学の講義にも出て部活もあって、オン、オフをしっかりつけた学生生活が送れたから、それは本当によかったと思っている。

時松 僕は高校を卒業して研修生になろうと思っていたときに、ジュニア時代からお世話になっていた筑紫ヶ丘GCから練習をしてもいいと言ってもらい、翌年にプロ転向して所属にさせてもらった。杉ちゃんもコースに所属だよね。


杉山 うん。今所属しているレイクウッドグループのゴルフ場が当時、成田にあって。中央学院のゴルフ部の学生はそこでキャディのバイトをしていたんだけど、僕が2年で日本アマに準優勝したときに、当時の社長から、今度よかったらうちのコースに来て回ってみないかと誘っていただいて、その後、何回か一緒にラウンドをしたことでご縁が広がって所属プロになりました。

時松 でもゴルフ場の所属プロって、ツアーに出るようになる前は、カートにバッグを乗せたり練習場のボールを拾ったりする程度で、ゴルフ場としたらほぼほぼ要らない存在じゃない。

杉山 ツアープロになったら、普段はいないことが多いしね。

時松 それなのに僕も杉ちゃんもずっと面倒を見てもらえるのって、ありがたいことだよね。

杉山 本当にそうだね。レイクウッドのスタッフの皆さんは僕のことを家族のように親身に思ってくれていて。たとえば僕が21年シーズンの5月の終わりに3試合連続で予選落ちして悩んでたとき、グリーンキーパーさんから「杉ちゃん、俺たちキーパーは、明日ラウンドするお客様のために最高のコンディションに仕上げるようにとことんやっている。杉ちゃんも、うち(レイクウッド)だったらとことん練習ができるんだし、やってみたらいいんじゃないか」って声をかけてもらった。それで2週間、自分のゴルフを立て直すために所属先にこもって練習をして、その後に出た日本プロで19位タイになり、ゴルフの状態が元に戻り、そのまま秋のブリヂストンオープンの初優勝に繋がったんだ。僕らプロはお客さんがはけたらコースに出たいし、同じ時間にコース課の人たちはコース整備をしたいから、かち合う関係にあるけれど、「プロの仕事はコースで技術を磨くことだから」って協力してくれる、すごく理解してもらっていると思う。

優勝は所属コースへの恩返しです!

「コース付きのプロとして、源ちゃんも僕も優勝という結果を出せて、恩返しができたことはよかったなと思っています」(杉山)

時松 いい話ですよね。プロの仕事はコースで技術を磨くことだっていうのは。

杉山 サッカー選手はサッカー場で、プロ野球選手は野球グラウンドで練習するでしょう。それなのにプロゴルファーがマットの練習場ばかりで練習をするのって、僕はずっとおかしいなと思っていて。実際のコースは全然平らじゃないし、芝の状態もまちまちだし、だから絶対にコースで練習をしたほうがよいなと思う。僕も源ちゃんもどちらかというとコースで自分の技術を作り上げてきたほうだから。

時松 ゴルフ場の話になったので、僕が選手会長だった関係でクレームをいただいた話をさせてもらいます。あるトーナメント開催のゴルフ場さんから「男子プロは試合中のロッカーの使い方がよくないです」と写真を見せていただいたら、ゴミ箱の周辺が燃えるゴミから飲みかけのペットボトル、シューズやタオルなんかが山積みに散乱しているんです。男子ツアーを何とかしよう、スポンサーさんやファンの皆さんを大事にしようという意識が選手の間で高まってはいるけれど、そもそも戦う場所であるコースに対する使い方がなっていなかった。それ以来、係の人がロッカー内を掃除する大変さを見て、これはダメだと思い、自分が気づいたときは飲みかけのペットボトルの水を抜いて捨てるくらいはしています。もうこれは選手とキャディが一緒になって何とかしないといけない問題だなと思います。コースを貸していただけなくなったら、僕らは戦えなくなるわけですから!

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月28日号より

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