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シニア最終戦を制した鈴木亨。勝因は“ポジティブの伝道師”鈴木愛理からの1本の電話

いわさきGCで行われたシニアツアー最終戦「いわさき白露シニア」は、プレーオフの末に鈴木亨がG・マイヤーを下し、シニア通算5勝目を挙げて幕を閉じた。また、賞金レースをリードしていた篠崎紀夫が8位と健闘して初の賞金王に輝いた。

今季の鈴木亨は、開幕から不振が続いていた。右の上腕三頭筋に力が入らなくなってたからだ。好調なときは280ヤードを誇っていた飛距離が220ヤードまで落ちてしまった。

首のヘルニアが神経を圧迫しているのが原因だったが、「MRIで調べてみても、手術するほどではない、と言われました。要は体のバランスが悪いんです。バランスを整える地味なトレーニングを続けていました」と鈴木。トレーナーの助言で順調に回復に向かっていたが、最終戦を前に首と肩に違和感が出て、右のひじから手のひらにかけてダルさを感じるようなったと言う。

「もう、この腕を切り落としてくれ、みたいな感じだったんです。でも、あと1試合だし、やれることだけやって、なんとか1週間持ってくれと思っていたら、初日、2日目にパットが入って、トップに立てたんです」

初日が終わったところで、娘から電話があった。長女は歌手で女優の鈴木愛理だ。その会話の中で、「娘が『今日は今日しかない。明日は明日しかないんだよ』と言ってくれたんです。僕はクヨクヨして明日が不安になったりする性格なんですけど、娘は“ポジティブの伝道師”と言われるぐらい前向きなんです。それで今できることを一生懸命やろうと思えたんです」

娘のコンサートがあると試合を休んででも行きたくなる鈴木だが、「かみさんに『稼いできなさい』と言われるんです(笑)」。ちなみ鈴木の奥さんは女子プロの丸谷京子だ。家族愛の勝利だったのかもしれない。

「家族一丸」で来季もまだまだ“稼ぐ”!(写真は2019年スターツシニア。PHOTO/Hiroyuki Okazawa)

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月21日号より