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【東京五輪】金メダルは米代表シャウフェレ。松山英樹は惜しくもメダル獲得ならず

速報
2021.08.01

<東京五輪ゴルフ男子 最終日/霞ヶ関CC東C/7447Y・パー71/7月29日~8月1日>

埼玉県の霞ヶ関CCで行われた東京五輪ゴルフ男子。酷暑の激戦を制し、金メダルに輝いたのは、アメリカ代表のザンダー・シャウフェレだった。

余裕の勝利に思えたシャウフェレを最後まで追い詰めたのは、最終組の12組前、首位と7打差でスタートしたスロバキア代表のローリー・サバティーニだった。

7アンダーでスタートしたサバティーニは、最終日、10バーディ・1イーグル・2ボギーの10アンダー「61」という驚異の追い上げで、トータル17アンダーでフィニッシュ。

その時点で、12番をホールアウトしていた最終組は、シャウフェレが18アンダー、12番でバーディを奪った松山英樹は16アンダー。

終盤は、パー5がひとつ(14番)、1オンが狙えるパー4がひとつ(17番)と、バーディが取りやすいホールが2つあり、優勝争いはシャウフェレと松山の2人に絞られたかに思われた。

ところがそのひとつ、14番パー5に落とし穴が待っていた。

シャウフェレのティーショットは、大きく右にプッシュアウト。ボールは茂みに入り、アンプレヤブル。木の間を狙って打った3打目は左のラフへ。4打目もグリーンをとらえられず、5打目でなんとか寄せ、ボギー。17アンダーにスコアを落とす。

一方、15アンダーに落としていた松山は、このホールで2オンに成功し、16アンダー。

17アンダーでシャウフェレとサバティーニが首位に並び、1打差で松山というまったく分からない展開に。

松山とシャウフェレ
明暗を分けたのはパット

14番のバーディ・ボギーで一気に差を2つ詰め、金メダルも見えてきた松山だったが、シャウフェレとの明暗を分けたのはパットだった。

15番パー4、グリーン左サイドのカラーから決めにいった松山のパットは、1mあまりオーバー。返しのパットはわずかに右に外れ、ボギー。シャウフェレとの差は再び2打に開いてしまう。

16番パー3では、松山がピン右4mにつける見事なティショットを放つものの、バーディパットを決めきれず。

そして1オン可能な17番パー4。松山とシャウフェレのティーショットはともにグリーン手前のバンカーに。セカンドを先に打った松山がピン手前2mにつけると、シャウフェレがさらに内側につけ、ともにバーディチャンス。先に打った松山のパットはカップの左へ。それを見たシャウフェレはしっかりとど真ん中から沈め、再び18アンダーにスコアを戻す。

随所に目の覚めるようなショットを放ちつつも、ショートパットに泣かされた松山



これが事実上のウイニングパットと思われたが、試練はまだ続く。

難関18番パー4のティーショット。ティーの右端に立ち、持ち球とは逆のフェードでフェアウェイキープを狙ったシャウフェレのボールは、大きく曲がって右バンカーのさらに右へ。残り100Y地点へのレイアップを余儀なくされる。

世界ランク5位という実力の持ち主ながら、PGAツアーでの勝利数は4。メジャーでも何度かあと一歩に迫りながら、勝ち星には恵まれていないシャウフェレ。

マスターズで敗れた松山と同組での最終日、この大舞台での勝利は喉から手が出るほど欲しかったに違いない。

強い気持ちで放った18番の3打目は、ピン奥に着弾すると、スルスルとスピンバックし1mにピタリ。優勝が懸かった1mのパットは決してやさしくはないが、最終日はこれよりも長い入れごろ外しごろのパットをことごとく沈めてきた。

そして今度こそ本物のウイニングパットを沈めたシャウフェレが、東京五輪の金メダルを手に入れた。

陸上10種競技の五輪代表候補ながら、不運な事故により五輪出場の夢が断たれてしまった父・ステファンさんの前で達成した大偉業。シャウフェレにとってはメジャーでの勝利以上に価値のある1勝だったに違いない。

銅メダル争いは
7人のプレーオフへ

松山は18番でバンカーから見事なセカンドショットを放つも、バーディパットを決めきれず、トータル15アンダー。銅メダルを懸け、異例の7人によるプレーオフが行われたが、1ホール目をボギーとし脱落。

最終的には台湾のC・T・パンが、アメリカの若きホープ、コリン・モリカワとの一騎打ちを制し銅メダルを獲得した。

満面の笑みで金メダルを手にするシャウフェレ(中央)。銀メダルに輝いたのは、この日10アンダーを叩き出したサバティーニ(右)。銅メダルは、サバティーニと同組でこの日8アンダーをマークした台湾のC・T・パン(左)

取材&撮影/服部謙二郎(週刊ゴルフダイジェスト)

【東京五輪ゴルフ男子 最終成績】
1位 X・シャウフェレ(アメリカ) -18(金)
2位 R・サバティーニ(スロバキア) -17(銀)
3位T C・T・パン(台湾) -15(銅)
—–プレーオフ—–
4位T C・モリカワ(アメリカ) -15
4位T M・ペレイラ(チリ) -15
4位T S・ムニョス(コロンビア) -15
4位T R・マキロイ(アイルランド) -15
4位T 松山英樹(日本) -15
4位T P・ケーシー(イギリス) -15
—————–
38位T 星野陸也(日本) -6