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体が柔らかくなりすぎる?茂木宏美が語る若林舞衣子“産後V”の難しさ

先日の『GMOインターネット・レディースサマンサタバサグローバルカップ』で見事ママさんVを達成した若林舞衣子。1988年のツアー施行後では6人目の快挙だが、この数字からも女子プロが出産を経てツアーで優勝することがどれだけ難しいことかがわかる。

達成することはできなかったものの、産後ツアーに復帰してママさんVを目指した経験を持つ茂木宏美に出産後に勝つことの難しさについて話を聞いた。

「出産を経てツアーに復帰し、優勝することは大変なことです。私は産後4カ月でツアー復帰しましたが、今思えばもう少し時間をかけて体を含め、しっかり準備を整えるべきだったのかもしれません」。茂木は11年に出場した全英女子オープンで同組だった選手が、産後すぐの出場で予選を通過する姿を見て、「どんな景色が見えるのか」と興味を抱いた経験から、産後すぐの復帰で自身に何が起こるのか身をもって体感しようと、実験的な意味も含め、復帰を決意したという。

当時の茂木は出産前と変わらないプレーを目指したが、そこに問題があったのではと振り返る。「出産後、柔軟性は高まりましたが、柔らかくなりすぎたデメリットもありました。若林さんも産後に体が変化したそうですが、これまでできなかったスウィングに取り組めるとも言っていました。体の変化をポジティブに捉え、新しいことに取り組もうと切り替えたのはすごい」と茂木。出産前後に訪れる体の変化は人それぞれだが、以後そういった選手が増えてくることでデータが蓄積され、変化の傾向など、いろいろ分かってくるはず。

ひとつ言えるのは、女子プロが出産を経て、ツアーに復帰するには一人の力では非常に難しく、周囲のサポートがあって初めて挑戦できるということ。今回の若林の優勝を機に、一層女子ツアーの現場に良い環境が整えられることを期待したい。

愛息を胸に4勝目を喜ぶ若林(PHOTO/Tadashi Anezaki)

週刊ゴルフダイジェスト2021年8月10日号より