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セベからガルシア、ラームへ。個性派ぞろい! スペインゴルフの系譜

ジョン・ラームがスペイン初の全米オープンチャンピオンに輝いた。そこでスペインゴルフの系譜をたどってみると……。

最終日の上がり2ホールでバーディを奪い勝利を手中に収めたラームは、憧れの先輩セベ・バレステロスのお株を奪うような情熱的なガッツポーズを繰り出した。

ゴルフ界におけるスペインの系譜はセベに始まる。16歳でプロ入りし19歳で欧州ツアーの賞金王に。22歳で勝った全英オープンを皮切りにメジャー5勝(マスターズ2勝、全英オープン3勝)、欧州ツアー通算50勝の最多記録は未だに破られておらず、彼が塗り替えた記録は枚挙にいとまがない。だがそれ以上にショットを曲げながらミラクルなリカバリーでバーディを量産するドラマチックなプレースタイルで一世を風靡。彼はスペインはもとより全世界のファンの心を鷲づかみにした。しかし10年前の5月7日、脳腫瘍により54歳の短すぎる生涯を閉じている。

生前彼が弟のように可愛がったのがホセ・マリア・オラサバルだ。マスターズ2勝の彼とセベの師弟コンビはライダーカップで米チーム相手に数々の名勝負を繰り広げた。

55歳のオラサバルの2歳上に現在米シニアツアーで活躍中のミゲル・アンヘル・ヒメネスがいる。遅咲きの苦労人はセベやオラサバルが華々しく活躍している頃は無名だったが、50歳でスペインオープンを制覇するなど息が長いプレーヤー。メジャー勝利こそないが2000年の全米オープンではタイガーに次ぐ2位に入り、欧州で21勝、米シニアで10勝の実績を誇る。

彼らの“手がかかる”弟分が“神の子”セルヒオ・ガルシア。メジャーデビューした99年の全米プロでいきなりタイガーと優勝争いを演じ一躍注目の的に。長年メジャー無冠の時代を過ごしたが17年セベの誕生日にマスターズ優勝を果たした。

こうして系譜をたどると実にカラフルで個性的。これからはラームがスペインゴルフを牽引する。

左からヒメネス、オラサバル、ガルシア、ラーム。実に個性的な面々だ

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月13日号より