Myゴルフダイジェスト

【世界基準を追いかけろ!】Vol.42 松山もザンダーも。一流の共通点は「地道なことを続けられる力」

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

松山英樹のコーチを務める目澤秀憲、松田鈴英のコーチを務める黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、最先端のゴルフ理論について語る当連載。今回は世界のトップ選手に共通する“凄さ”について話してくれた。

GD 目澤さんが帰国した時に、どんな情報交換をしたんですか。

黒宮
 僕のほうから、PGAツアーの雰囲気や選手たちが取り組んでいるもの、取り組む姿勢などを目澤くんに聞きました。今までもPGAツアーはスタッツなどのデータ類がとても充実していて、選手の強みと弱点が一目瞭然なのが凄くいいなと思っていました。またコーチ陣の質も凄く高く、コーチと選手が信頼関係を持ってやれているというのは感じていました。でも目澤くんに聞いた話の中で、何より凄いと思ったのは、スーパースター級の選手たちが、めちゃくちゃ努力をしているという話が、「なるほど」と思いましたね。

目澤
 あれは3月のWGC マッチプレーの時でしたが、あの試合はスタートが遅く、朝一番のスタートが9時。松山プロは2日目のスタートが9時と一番早かったので、僕らは7時半にコースに行ったんですよ。そうしたら選手が一人練習していて、誰かなと思って見たらザンダー(※1)だったんです。その日のザンダーは午後2時過ぎのスタートなのに、何でこんな朝早い時間にいるんだろうと思って、その理由を聞いたんです。すると、「クラブのグリップの下巻きを一枚減らしたので、そのグリップを慣らすために早めに来て練習をしているんだ」と言うんです。

GD 下巻き一枚の違いに慣れるために朝イチから球を打つ姿勢は凄いですね。

目澤 松山プロは、その2日目にB・ハーマンに負けましたが、翌日もいつもと変わらぬルーティンをこなし対戦相手に完勝した話は前回もしましたよね。

GD はい。次に進めないことが分かっていながら、いつも通り戦い、2週間後のマスターズを想定していたという話でしたね。

目澤
 ザンダーも松山プロも、世界のトップ選手がそういう地道な努力をコツコツやっているということに、PGAツアーの選手の凄さを感じるんですよね。普段、松山プロがやっているのは、本当に地味なことなんですよ。それをなんとも思わず続けられるのが、普通の人とは違うのだと、身近で見ていて感じます。

GD いつまでも地道な努力をやり続けられる松山選手の原動力は何だと思いますか。

目澤 近くで見ていて思うのは、彼は、本当に世界一強くなりたいと思っているということです。とある試合の練習場で、それこそ世界のトップランカーの3人が球を打っているのを見ながら、「あの3人で誰が一番上手いと思います?」と聞かれたことがありました。僕がそのうちの一人を答えたら、「あ、そうなんですね」と言った後に、「でも自分は彼を上手いと思ったことは一度もない」って言ったんです。それを聞いた時に、松山プロは本当に自分が世界で一番になれるって信じているんだなって思いましたよね。

GD それほどの強い自信がなければ、土壇場で力を発揮できないですし、その自信は普段の地道な練習によって生まれるんですね。

※1.ザンダー・シャウフェレ。米国・サンディエゴ生まれ。母親は台湾人、父親はフランスとドイツのハーフ。13歳からゴルフを始め、2015年にプロ転向。17年に「ザ・グリーンブライアークラシック」でPGAツアー初優勝。同年プレーオフ最終戦「ツアー選手権」で2勝目を挙げルーキー・オブ・ザ・イヤーに。PGAツアー4勝。マスターズで松山と決勝ラウンドを共にまわり、3位になった

目澤秀憲
めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁
くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。09年中部ジュニア優勝。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。松田鈴英、梅山知宏らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月22日号より