【イ・ボミのスマイル日和】Vol.4「印象的なのは横峯さくらさんのプレー。私も日本でチャレンジしたいと思いました」

2年連続賞金女王など輝かしい実績を残し、2023年に惜しまれつつも日本ツアーを引退したイ・ボミ。これまであまり語られてこなかった生い立ちや現役時代の秘話など、あらいざらい語り尽くす!
TEXT/Kim Myung Wook PHOTO/Takanori Miki

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- 2年連続賞金女王など輝かしい実績を残し、2023年に惜しまれつつも日本ツアーを引退したイ・ボミ。これまであまり語られてこなかった生い立ちや現役時代の秘話など、あらいざらい語り尽くす! TEXT/Kim Myung Wook PHOTO/Takanori Miki イ・ボミ 1988年生まれ。15、16年賞金女王。日本ツアー21勝のレジェンド >>前回……
横峯さくらさんのプレーに衝撃を受けました
韓国ツアーにも忘れられない思い出がたくさんありますが、1部ツアーにデビューしたのは2008年で、初優勝は09年「Nefs Masterpiece」という大会でした。 思い出すのは、この試合で3日目に(アン・)ソンジュオンニ(=お姉さん)と同組で回った時のことです。当時は所属先が同じで、お互いに優勝争いしていたのですが、その時に「私たちのどちらかが必ず優勝しないといけない」って言ってくれて、競争心ではなく、チームで戦っているような雰囲気を与えてくれた。その言葉ですごくリラックスできました。
最終日は12アンダーで並んだ(パク・)インビとプレーオフを戦って、2ホール目に私がパー、インビがボギーで初優勝しました。実は、この時は初優勝に向けて必死だったので、相手がインビだった記憶もおぼろげなんです。インビは08年の全米女子オープンで優勝してすでに韓国ではスター選手でしたから、彼女への応援がすごかったことは記憶しています。
初優勝は泣いたか? それもまったく記憶がないんです(笑)。韓国のニュース記事では、笑顔で母に家も車も買ってあげたいと話していたみたいです。親孝行しなければという強い気持ちがあって、そう語っていたのだと思います。10年に3勝して賞金女王、KLPGA大賞、平均ストローク1位、パーオン率1位と忘れられない記憶がありますが、この年は米ツアーのメジャー出場権も得られたことで積極的に海を渡った1年でもありました。
韓国の賞金女王が米ツアーに挑戦するという流れは当時からあったのですが、もちろん私にもそのような考えはありました。ただ、スポット参戦では結果が出ない。というのも、米国では毎回、時差に慣れず……。さらに食事はピザやハンバーガーなどが多く、英語もほとんど話せず。試合に出るとみんな大きくてものすごく飛ばす。私にとっては魅力的な場所とは感じられなかったんです。
そうした苦労をそばで見ていた母が、一度日本ツアーに行くことも考えてみたら? と提案してくれました。もちろん韓国に残ることもできましたが、母が「韓国で賞金女王になったのだから、ここにいてもボミにとっていいことはない」とアドバイスをくれたんです。このまま残っても大きな成長は見込めないと判断したのでしょう。
これを機に日本ツアーをテレビで意識的に見ることが増えました。すると、私くらいの身長の選手、たとえば横峯さくら選手のプレーが印象的で、パー5から2オンを狙っていました。そういう姿を見て私もチャレンジしてみたいと思ったんです。それに日本は距離も近く、食事も美味しい。家族とも会いやすく、精神的にも落ち着いてプレーできると思いました。それにソンジュオンニも日本で賞金女王になった年でしたからそれも大きかったですね。
2010年に日本のQT(予選会)を受けることになるのですが、その前に初めて日本に行った高校生時代の思い出を一つ。日本で日韓戦が開催されたのですが、当時の女子メンバーには木戸(愛)ちゃんや(藤本)麻子などがいました。そこでビックリしたのは、日本ではジュニアの試合は自分でバッグを担いでプレーするということ。韓国や中国で国際試合をしたときはカートにバッグを載せたのですが、初めて自分のゴルフバッグを担いでプレーしたんです。さすがにそれは衝撃的でした(笑)。でも重くてしんどいというよりも、仲良くなるきっかけみたいになったので、今思えばいい思い出です。日本ツアーに参戦したときも麻子は私のことをすごく覚えていてくれて、1日でも早く環境に慣れるようにといろいろと助けてくれました。
10年の日本ツアーQTを10位で突破し、11年から初参戦するわけですが、安心するのもつかの間。ここから紆余曲折あり、喜怒哀楽ありの本当の戦いが始まります。

家族でベトナム旅行に行ってきました!
引退してからは家族と過ごす時間を大事にしています。現役時代にはできなかった旅行を思う存分楽しんでいます!
月刊ゴルフダイジェスト2025年4月号より