Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • プロ・トーナメント
  • 【スウィング研究】ラドビッグ・アバーグ「無駄な動きを極限まで省いた合理的でシンプルなスウィング」

【スウィング研究】ラドビッグ・アバーグ「無駄な動きを極限まで省いた合理的でシンプルなスウィング」

いま注目すべきスウィングを、連続写真で徹底分析。今回取り上げるのは、昨年のマスターズで2位に入るなど、若手の急先鋒として今季も活躍が期待されるラドビッグ・アバーグ。

解説/内藤雄士
PHOTO/Blue Sky Photos

ラドビッグ・アバーグ……1999年生まれ、スウェーデン出身。テキサス工科大に留学し、2022年世界アマチュアランク1位に輝いた。2023年プロ転向し、同年秋にPGAツアー初優勝

無駄をそぎ落とした
シンプルスウィング

昨シーズン、マスターズで2位に入るなど年間を通して活躍し、プロ転向からわずか1年半で世界ランキング6位にまで上り詰めたアバーグ。そのスウィングを内藤雄士プロに解説してもらった。

「ドライバーからパターまでそつなくこなすオールラウンダーで、どれもレベルが高い。同郷の大先輩、アニカ・ソレンスタムのように無駄な動きを極限まで省いた合理的でシンプルなスウィング。まだ25歳ですが、完成度は高いです。


左手がストロングで右がスクエアの今どきなグリップで、スタンスからポスチャー(姿勢)までニュートラル。そして、バックスウィングの始動からフォローまで腕と体が完全に同調しています。ひざの向きがアドレスから一切変わらずに見えるほどひざの動きが小さく、体のねじれだけで捻転差を作り出し、体を回し切ったコンパクトな位置にトップを収めます。

切り返しは左足の踏み込みでスタート、インパクト前は左脚を伸ばしながら右足を踏み込んで“地面反力”を使っています。ただし、動きそのものがものすごく小さい。ローリー・マキロイやマシュー・ウルフのように体全体を使っているのとは対極と言っていいでしょう。全体を通じて上下動やひざの動きが小さいためミート率を上げられて曲がりません。

昨シーズンのドライビングディスタンスは310.2Yの22位ですが、動きを大きくすればもっと飛ばせるはず。でも、それをしないのはアイアンのスウィングなどトータルで考えているからでしょう。松山英樹選手が以前『PGAツアーで戦うには290Yは必要』と話していましたが、彼もそれをクリアしているのでそれ以上の飛距離は望んでいないように感じます。アマチュアの方は、飛距離を意識しすぎて動きが大きくなる傾向が高いですが、むしろ動きを小さくしたほうが、ミート率が上がって飛ばせることも多いので、参考にするといいでしょう」

週刊ゴルフダイジェスト2025年2月18日号より