Myゴルフダイジェスト

【イザワの法則】Vol.52 楽しみな1年が始まります

昨年、5シーズンぶりにシニア2勝目を挙げた伊澤プロ。また、師弟関係にある天本ハルカプロも初優勝し、うれしい出来事が重なった年となった。2025年はどういうシーズンになるだろうか?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

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昨シーズンから継続して調子は上向き

昨シーズン(2024年)は、私もシニアで2勝目を挙げることができましたし(マルハンカップ太平洋クラブシニア)、高校生だった頃から指導している(天本)ハルカちゃんも、プロ7年目で初優勝して(パナソニックオープンレディース)、結果的にすごくいい年になりました。ハルカちゃんは、23年シーズンに何度も優勝争いをして、結局勝てずに終わっていましたから、24年シーズンに入って割とすぐ勝てたのはよかったですね。何だか、自分のことよりうれしかったです。

私はというと、23年シーズンは、試合で試してみたいことがあって、実験的にいろいろやっていたのですが、それも自分の中で答えのようなものが得られたので、24シーズンは至って「真面目に」試合に取り組みました(笑)。それで2勝目につながったのはとてもよかったと思っています。


以前にも話した、パッティングのスタイルが固まったのが一番の成果かなとは思いますが(編集部注:中尺で、右手を野球のピッチャーがボールを握るような形でグリップするスタイル)、ショットもいいところで狙い通りの球が打てた場面が多かったですし、全体的に雰囲気が悪くないので、それが今シーズンも継続できれば楽しみな結果がついてくるんじゃないかと、自分自身に期待はしています。

シニア2勝目は随所での冷静な判断が光った

太平洋クラブシニアで優勝したとき、最終日は強い雨が降ったりやんだりといった状況だったのですが、最終18番の2打目を打つ場面になって、小やみになっていた雨がまた強く降ってきたんですね。ティーショットの時点でレインウェアは脱いでいたので、少し迷ったんですが、また上下ともレインウェアを着て2打目を打ちました。それが1メートルと少しについて、それを決めて優勝したんですが、その場面をテレビ中継で見たこの連載の担当編集者から、「あそこでもう一度カッパを着るとは思いませんでした」と後日言われました。確かに、レインウェアを脱いだり着たりというのは、集中力がそがれる要因のひとつではあるのですが、あのときは雨足があまりにも強かったので、レインウェアを着たほうが普段通りの集中力で打てると判断したんですね。結果としては正しい判断でした。

もうひとつ、担当編集者が言っていたのは、「15番を終わった時点で、(すでに11アンダーでホールアウトしていたチェ・ホソンを逆転するには)残り3ホールで3連続バーディが必要という場面で本当にやるのがすごい」だったんですが、自分としては3つじゃなくて、「少なくとも2つ必要」という認識で、16、17番で連続で取れたので、「じゃあ18番も狙わないと」という感じでした。それに、プロだと3連続以上のバーディは、誰でも経験があるので、そこまでハードルが高いチャレンジではなかった気がします。ちなみに、その編集者に最高何連続でバーディを取ったことがあるか聞いたら「2」で、1ラウンドで3つが最高とのことでした。それだとかなりハードルは上がりますよね(笑)。

「初日のスタートホールから
どれだけ計画的にバーディを積み重ねるかが大事」

調子が“悪くないが大事

アイアンでピンを狙い打ちする場合、最下点のコントロールが非常に重要。とくにショートアイアンで最下点をボールの先に持っていきすぎると、スピン量が増えすぎてしまい、グリーンに落ちてから戻りすぎたり、そもそもショートしたりしやすい

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2025年3月号より