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【PGAツアーエキスプレス】Vol.34 アジア勢に勇気を与えた松山英樹のマスターズ制覇

ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第34回は、4月に開催されるゴルフの祭典「マスターズ」の歴史や今年の注目選手を取り上げる。

取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)

松山英樹 マスターズ
松山英樹 1992年生まれ、愛媛県出身。言わずと知れた日本のエース。今年はジェネシス招待で優勝し、アジア人最多となる9勝目を挙げた
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松山英樹が与えた影響は大きい

春といえば、新たな旅立ちや物事に変化をもたらす季節であるが、ゴルフの世界で春といえばマスターズにほかならない。世界中から精鋭が集うわけだが、毎年感じるのはアメリカ人選手以外の活躍だろう。今年、アメリカ人以外で注目される選手は、日本人では松山英樹と久常涼、韓国のトム・キム、イム・ソンジェ、キム・シウー。韓国生まれでオーストラリア育ちのミンウー・リー。そして、昨年のフェデックスカップ王者のビクトール・ホブランとスウェーデンのラドビッグ・アバーグといったヨーロッパ勢。今挙げた選手たちは非常に若く、最年長の松山でさえまだ32歳。最年少の久常は21歳だが、その実力を疑う人はいないだろう。それだけ若くして世界レベルに達しているということだ。

マスターズは1934年に初めて開催された。球聖ボビー・ジョーンズの理念に基づき、当時から“完全招待制”であり、その形は今も保たれている。また、世界ランキングなどの資格基準が設けられただけでなく、その基準に満たしていない場合でも出場を認める特別招待枠も準備してきた。今年は、久常がその枠で出場することになる。

1979年まで43回開催されたマスターズでは、アメリカ人以外の優勝者は3度優勝したゲーリー・プレーヤーたった1人だったが、1980年のスペインのセベ・バレステロスの優勝は、マスターズだけでなく、ゴルフ界全体に新しい時代の幕開けを予感させたのであった。1980年以降は21回、アメリカ人以外が優勝を飾ったが、もちろん日本の松山英樹はそのひとりである。

松山の優勝は日本や韓国をはじめ、チリ、ノルウェーといった国々からさらなる優勝者を生み出す道を切り開いたと言っても決して大げさではないだろう。

もちろん、キャリアグランドスラムがかかるローリー・マキロイの成績は、マスターズにおいて最も注目されることのひとつだ。しかし、それ以外でも韓国のトム・キムは昨年16位タイ、イム・ソンジェは過去4回出場し2度トップ10入りを果たした。さらに言うと、キム・シウーはこれまで7回出場して6度、予選を通過していて、韓国勢の活躍も大いに期待できる。そして、松山英樹だ。2013年にローアマを獲得し、21年の優勝。今年の調子を見ると、期待せずにはいられなくなるのは多くの人の気持ちだろう。

彼の活躍が、いつか『アジア人の新たな道を切り開いた英雄』として称えられる日が来るかもしれない。いよいよ、ゴルフの祭典が幕を開ける。

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月刊ゴルフダイジェスト2024年5月号より

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