Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • プロ・トーナメント
  • 「大会の面白さ、ホスピタリティ、賞金…夢のある世界だと思いました」 香妻陣一朗が“LIV”を選んだ理由<前編>

「大会の面白さ、ホスピタリティ、賞金…夢のある世界だと思いました」 香妻陣一朗が“LIV”を選んだ理由<前編>

今年3年目を迎えた「LIVゴルフ」。昨年12月の予選会を通過した香妻陣一朗が、今月始まった新シーズンに出場している。日本人初のフル参戦となる新たな挑戦について、本人に話を聞いた。

PHOTO/Blue Sky Photos、本人提供

香妻陣一朗 こうづま・じんいちろう。1994年鹿児島県生まれ。2歳でゴルフを始め、姉・琴乃とともに腕を磨き、ジュニア時代から活躍。宮崎の日章学園高校卒業後プロ入り。20年に初優勝を飾り、22年に2勝目を挙げる。海外にも積極的に挑戦し続けている

>>後編はこちら

  • 今年からLIVゴルフにフル参戦している香妻陣一朗。アジアンツアーにも積極的に参戦していた香妻だが、海外での転戦生活は苦にならないのか、今後はどのようなプランを描いているのか。新たな戦いに挑む香妻の今に迫る。 PHOTO/Blue Sky Photos、本人提供 香妻陣一朗 こうづま・じんいちろう。1994年鹿児島県生まれ。2歳でゴルフを始め、姉・琴乃とともに腕を磨き、ジュニア……

プロだからこそ
いい場所を目指します

今月の頭、香妻陣一朗はメキシコで、LIVゴルフ第1戦at マヤコバ(エル・カマレオンGC)に臨んだ。賞金総額は2000万ドル(約30億円)の試合だ。

優勝は、チリのトッププロ、ホアキン・ニーマン。香妻は216で38位タイだった。これで賞金13万5200ドル(約2000万円)を獲得。やはり、破格だ。

昨年12月、UAE・アブダビで行われた73人での予選会(3日間72ホール)を香妻は2位タイで終え、3人でのプレーオフを勝ち抜き、予選会で得られる3枠の出場権のうちの1枠を得た。これで今シーズンの全14戦に出場できるのだ。

「アジアンツアーの上位の選手たちやヨーロッパで優勝している選手たち、PGAツアーの優勝者もいましたね。フィールドはけっこう、厚かったんじゃないかと思います。ジェイソン・ダフナーやマルタン・トレーナー、トップだったカッレ・サモーヤ(フィンランド)も欧州で優勝していますもんね」

コースは、「めちゃくちゃ難しいわけではない」というのが香妻評。距離があってもハザードが多いわけではなかったとのこと。セッティングも普通だった。

「でも、あのQT独特の雰囲気はありました。変な感じでプレーしていましたね。日本のQTを受けるとき以上にめっちゃ緊張していました」

日本からは22年度の賞金王、比嘉一貴も出場したが、残念ながら通過ならず。予選会の期間中はずっと一緒に練習ラウンドや食事をしていたという。

「昨年、ずっと日本ツアーでの調子がよくなくて、ツアー終了後に突然調子がよくなった感じでした」。予選会後のアジアンツアー、サウジオープンby PIF(リヤドGC)でも4位タイに入っていることから、香妻の調子がわかるというものだ。

「本当に昨年はゴルフがまったくよくなかったんです。ショートゲームが悪くてそれがショットにも響いていた感じで。パッティングのタッチが合わなかったり、ちょっとヘッドが動かなかったりしていた。でも試行錯誤しながらアドレスを見直したら、しっくりくるものがあったんです。終盤のフェニックス、カシオあたりでよくなったという感覚があって。そこからですね」

ずっと調子がいいことはないので、常に球の位置など試行錯誤していくという香妻。パットは出球が自分のイメージしたところに出ることを大事にして練習しているという。また、調子が悪いときは練習量が増えるというが、

「練習をしまくっていると何かが見つかるんです。そうして、どんどんほかのものも、流れもよくなる。全部よいときってありますから」

賞金もギャラリーもモチベーションになる

香妻は、22年6月からLIVゴルフに3試合出場した。

「何試合か出て、やっぱり大会の面白さと選手へのホスピタリティ、もちろん賞金もそうですけど、夢のある世界だなあと思って、そこを目指したいなあというふうに思ったんです。予選会の1カ月くらい前に出場できることが決まったんです」。迷わず、予選会への挑戦を選んだ。

LIVゴルフは、ギャラリーもたくさん入っており、盛り上がっていたという。

「難しいコースもありましたけど、セッティングが独特だということはない。特別にスコアが出るようにしている感じがしない。アジアンツアーやPGAツアーに似ていますね。ホスピタリティはやはりよくて、選手の遠征費はもちろん、キャディのぶんまで遠征費を出してくれたり。LIVからメジャー大会に出場したことがあったんですけど、そのときには、ジェット機をチャーターして選手全員を乗せてくれましたね」

破格の待遇である。またLIVゴルフは3日間競技で、ショットガンスタートという独自ルールを採用している。

「3日間競技だからって、特別にどうこうは思わないんですけど、体的にはやっぱりラクです。単純に1日休めますから。ゲームプランが変わることはないけれど、スタートが朝が早かったり、試合が終わるのが遅くなったりすることがまったくなくて、だいたい昼前後のスタート。ショットガン方式だからですよね。いろいろな計画が立てやすいんです」

この年、3試合で約1億6800万円を稼いだ香妻。やはり選手たちは、モチベーション高くプレーしているという。

「賞金額がそれなりに大きいですからね。すごく真剣ですよ。今はメジャーチャンピオンも参戦しているので、フィールド的にも世界でトップクラスだと思います。ホスピタリティとしては、試合の会場のなかでは当然、飯が出たりしますし。でも、アジアンツアーでも食事は出ますね。日本だけがホスピタリティが低すぎるのかな」

チーム戦も楽しい。

「チームの人たちとめっちゃ仲良くなるんです。最後の選手が上がってくるまで、同じチームの選手で待っていたり……」

香妻は、今シーズン「アイアンヘッド」チームに入った。ケビン・ナ率いるメンバーは、ダニー・リー(ニュージーランド)、スコット・ビンセント(ジンバブエ)。シーズン通してこのチームで戦う。

「名前は勝手に決まってるんですよ。ギャラリーも前はそうでもなかったけど、今はチームの帽子を被ったりする人もいます。チームにサポーターみたいなものがついているんじゃないでしょうか。盛り上がっていて面白いですよ」

今シーズンから、元世界ランキング1位、メジャータイトルも持つジョン・ラームが加入したことも話題となった。

「予選会に行く前に知りました。ラームが入ったので、またゴルフ界の雰囲気が変わりましたよね」

>>後編はこちら

  • 今年からLIVゴルフにフル参戦している香妻陣一朗。アジアンツアーにも積極的に参戦していた香妻だが、海外での転戦生活は苦にならないのか、今後はどのようなプランを描いているのか。新たな戦いに挑む香妻の今に迫る。 PHOTO/Blue Sky Photos、本人提供 香妻陣一朗 こうづま・じんいちろう。1994年鹿児島県生まれ。2歳でゴルフを始め、姉・琴乃とともに腕を磨き、ジュニア……

週刊ゴルフダイジェスト2024年2月27日・3月5日合併号より