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【インタビュー】識西諭里<後編>欧州女子ツアーは「想像以上に大変だった」「ゴルフをやめようかなって思うことも…」

昨年、欧州女子ツアーにフル参戦を果たした女子プロ識西諭里。後編は、欧州ツアーに参戦して痛感した大変さや、学んだこと、そして今後の目標について聞いてみた。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、本人提供、Getty Images

識西諭里 おにし・ゆり。1997年生まれ、愛知県出身。幼少時に福岡に引っ越し10歳でゴルフを始める。日本のプロテストには8度挑戦し合格ならず。しかし一昨年、米女子ツアーのQシリーズファイナルに進出し、下部ツアー出場権を獲得。さらに同年の欧州女子ツアーQスクールを突破し、昨年1年間、欧州女子ツアーで戦った。

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初戦はケニア、翌週はモロッコ

「そこから準備していくうちに、あれっ、これやばいなって思いました。欧州ツアーは移動が凄いんです。いろいろな国に行きました。デビュー戦はケニアで、5位タイです。私、いけるんじゃないって思っちゃいました。自分に期待しちゃいましたね。でもランク上位の選手は何人かいましたが、強い選手はスキップしていました。優勝はLPGAでも活躍していた選手(A・アショク)だったので、自信にはなりました」

しかし、この後すぐ識西は欧州ツアーの大変さを知ることになる。

「翌週の大会はモロッコでした。初めての欧州ツアーでの移動がケニアからモロッコだったのですが、最初の飛行機が遅れて、次の便に乗ろうとしたら手続きが大変で間に合わず……乗り換えも3回あり、移動にまる1日かかりました。最初の2戦は母が付いてきてくれたのですが、母も英語はしゃべれませんし。モロッコの後は南アフリカで2試合あったのですが、周りの人たちから南アフリカは治安があまりよくないから危ないよって。川村(昌弘)さんが警察のふりをした強盗にあったという話も聞いていて、ひとりで行く予定だったのでスキップしました」

欧州をスキップしている間は、エプソンツアーに2試合出場し、5月から再び欧州に復帰した。


食事は常にマック

「フィンランド、スイス、スウェーデン、北アイルランド、イギリス、スペイン、香港、アメリカ、オランダなど、いろいろな国に行きました。井上コーチが3試合、キャディで来てくれましたが、それ以外はひとりでした。でもゴルフの環境はエプソンより欧州ツアーのほうがよかった。練習場も芝からタイトリストのボールで打てますし、トラックマンの貸し出しもありました。ゴルフ場の食事もよかった。グルテンフリーやビーガン用の食事も用意されていました。欧州ツアーはメンバーがいつも一緒。だから違う国に行っても、会う人は同じです」

言葉の問題はなかったのか。

「みんな英語が基本でした。私の英語は義務教育レベルですが、しゃべることに臆することはないので、ユーチューブなどで勉強して、謎の自信がありました(笑)。言葉に関しては苦ではなかったです。でも食事に関しては、気軽に行けるお店を見つけるのが大変で……だからマックに行っていました。マックに頼っていましたね、考えなくていいのが楽で。食事といえば、欧州ではピザ1枚をひとりで食べるんです、フォークとナイフで。あれは衝撃的でした! マジかって(笑)。ピザはみんなでシェアするものだと思っていたので」

物価についてはどうだろう。

「物価は日本の倍ですね。でも考えるのをやめました。ユーロを円換算しないようにしていました。マックで2000円ですからね。全部クレジットだったので、いま昨年の欧州の経費を計算していますが、結果が出るのが怖いです。移動はレンタカーで、ホテルは自分で安いところを探して予約していました」

欧州は食事も苦労したが、物価も高い

シード権は逃したが
「欧州ツアーに参戦してよかった」

ゴルフのプレーの面ではどんなことを感じたのだろうか。

「エプソンにも強い選手はいましたが、欧州の選手はみんな大きいです。2メートルくらいの選手もいました。欧州はタテが長い。脚が長くてうらやましいです。だからみんな飛ばします。平均230Yの人なんていませんから。私は240~250Yですが、飛ばないほうです。日本との一番の違いは芝かな。沈むし、スペインでは乾いた芝だったり、場所によって違う。風もリンクスは尋常じゃない。フォローだとドライバーで350Yくらい飛びました」

結局、識西は20試合に出場し、トップ10入りが2回、ポイントランクは82位。シードには届かなかった。

「もっとできたのかなって思いますけど、欧州ツアーで戦うって想像以上に大変だった。エントリーの準備なども含め自分ですべて予約しなくてはならないし、物価も高く、安いところを探さないといけない。ゴルフ以外の面でのストレスは多かった。でもツアーにフル参戦すること自体が初めてで、ゴルフも、ゴルフ以外のこともいい経験になりました。リディア・コーやコ・ジンヨンとも回りましたし。思っていたより結果が悪くてめちゃくちゃ落ち込んで、もうゴルフやめようかなって思うこともありました。予選落ちが続いたり、ポイントを稼がなきゃ、あと何試合しかないとか焦りもありましたが、欧州ツアーに行ってよかったと思います。今はこの結果を受け入れられているし、これを糧に次につなげていきたいです」

最後に今後のプランを聞いた。

「82位だとQT合格者よりも優先順位は低いのですが、欧州ツアーで出られる試合があれば出たいです。試合が始まる直前にならないと私まで出場枠が下りてくるかはわからないんですけれど、出られれば出たい。そして日本の試合に出るためにプロテストは合格したい。ステップbyステップで頑張っていきます!」

週刊ゴルフダイジェスト2024年2月27日・3月5日合併号より