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【インタビュー】識西諭里<前編>「そんなツアーがあるのか!」プロテストに落ちたその日にエントリーした欧州女子のQTを突破

日本のプロテストには合格していないが、昨年、欧州女子ツアーにフル参戦を果たした選手がいる。識西諭里、26歳。参戦までの経緯と、欧州での怒涛のような1年間を振り返ってもらった。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、本人提供、Getty Images

識西諭里 おにし・ゆり。1997年生まれ、愛知県出身。幼少時に福岡に引っ越し10歳でゴルフを始める。日本のプロテストには8度挑戦し合格ならず。しかし一昨年、米女子ツアーのQシリーズファイナルに進出し、下部ツアー出場権を獲得。さらに同年の欧州女子ツアーQスクールを突破し、昨年1年間、欧州女子ツアーで戦った。

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プロテストを8回受験も…

10歳でゴルフを始めた識西諭里がプロになることを意識したのは高校3年生のときだった。

「全国高校選手権で3位になり、福岡アマにも3年生のときに勝って、ぼんやりとですけれど、このまま続けていけばプロになるんだろうなと思っていました」

高校を卒業した年からプロテストを受け始めたが、プロテストの壁は高かった。

「昨年までで8回受験しました。もう数えるのをやめました。長いですね。毎年くじけていますよ」

以前はプロテストに合格していなくてもQTで上位に入れば、翌年のツアーに出場することが可能だった。しかし現在は、プロテストに合格しなければQTに出ることもできない。つまり、日本では試合に出られないのだ。

「日本の試合には、ステップ・アップ・ツアーもレギュラーも、プロとしては出たことはありません。アマチュアのときは推薦でステップに出たことはあります。プロテストのファイナルには5回行っていますが、悔しいですね。毎年20位までしか合格できないって少ないですよね」

落ちたその日にエントリー

日本で試合に出られない識西は、プレーする場を求めて台湾ツアーに参戦した経験がある。

「新型コロナが流行する前です。QTを通って10試合くらい出場しました。予選落ちは1試合だけで優勝争いも1回しました。翌年のシード権をもらえましたが、コロナでツアーが中止になりました」

そして22年、大洗GCでの最終プロテスト。識西はベイブ・リュウと同じ組になり、リュウから欧州ツアーの話を聞いた。

「サスペンデッドになり再開を待っていたとき、リュウさんから聞きました。そんなツアーがあるのかって。プロテストに落ちたその日にエントリーしました」

この年、識西は米女子ツアーのQスクールも受けて、1次、2次を突破、ファイナルに進出した。

「ファイナルは8日間で、4日目に西村優菜ちゃんと同じ組になり、いろいろと思うことはありましたね」

5日目を終えて49位。合格ラインの45位も見えていた。でも残り3日間でスコアを崩した。

「ゴルフの内容はそこまで悪くなかったのですが、パットが決まらなかった」

ファイナルに進出したことで、米下部のエプソンツアーの出場権は確保した。そこからスペインに移動し、欧州女子ツアーのQスクールファイナルを通算3アンダー、17位タイで合格した。

「エプソンは2部で、欧州は1部ですから、井上透コーチにも相談して欧州を選択しました。世界ランクのポイントも賞金額も欧州のほうが多かったですし」

こうして欧州女子ツアー参戦を決めた識西だったが……。

>>後編へ続く

週刊ゴルフダイジェスト2024年2月27日・3月5日合併号より