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【スウィング研究】蟬川泰果<前編>「ジョン・デーリーを彷彿とさせる“シットダウン”が鋭い回転を生む」

今年1月中旬にハワイで開催されたソニーオープンでは、蝉川泰果が3日目を終え4位タイと躍動した現地を訪れていたプロゴルファーの小林一重が、蝉川のスウィングを見て感じたことをレポート!

PHOTO/Blue Sky Photos

蟬川泰果 2001年生まれ。兵庫県出身。今回のソニーオープンinハワイでは4位タイで最終日を迎えるも結果は30位タイ。昨年の国内ツアードライビングディスタンスは306.6ヤードで6位

解説/小林一重

1948年生まれ。30年以上にわたって小誌でトッププロのスウィング解説を度々行ってきた。東京多摩川ゴルフ練習場でアマチュアのレッスンに尽力中

>>後編はこちら

切り返しのシットダウンが
鋭い回転を生む

今年1月11日から14日にワイアラエ・カントリー・クラブで開催された「ソニーオープンinハワイ」。現地で見てきた小林一重プロに蟬川泰果のスウィングについて解説してもらった。

「近年、スウィングの解説で、“回転”という表現がよく使われますが、言うは易し行うは難し……と感じているアマチュアも多いのでは? そこで、目の前の試合観戦とは別に、体の回転がスムーズな飛ばし屋の蟬川泰果選手に着目して観察していると、トップからダウンスウィングへ入った瞬間のある動作が浮き上がってきました」

体の回転を説明するうえで、蟬川との比較対象に選んだのがジョン・デーリーだった。

「30年ほど前、全盛期のデーリーを、『切り返しでの“シットダウンモーション”が誰よりも強烈です』と解説したことを覚えています。シットダウンとは椅子に座る時のように、足の踏み込みによって腰を沈み込ませ、同時に上半身の前傾も深まっていく動作を指します。地面を踏んで、この動きが入ることで、その反動で下半身が伸びる方向に作用して回転が始まります。今でいう地面反力ですね。シットダウンの反作用が回転力を生み出します。蟬川くんの沈み込み動作を間近で見ていたら、当時のデーリーを思い出したわけです」

2選手を比べるとデーリーはオープンフェース、蟬川は超シャットで各時代のクラブに合わせたフェースワークは対照的だが、どちらもトップで伸びた右脚が一気に曲がってダウンスウィングの回転がスタートしている。その反動により、インパクトでは左サイドが伸びている。小林プロが述べたシットダウンは、飛ばし屋に備わる時代を超えた共通項というわけだ。

右脚が伸びている

伸びた右脚が一気に曲がって(=シットダウン)、回転がスタート

左サイドが伸びている

蟬川泰果の1Wスウィング

ジョン・デーリーの1Wスウィング

1966年生まれ。カリフォルニア州出身。1991年、初出場の全米プロでいきなり優勝。1991年のPGAツアードライビングディスタンスは288.9ヤードで1位。1995年全英OPにも優勝

>>体をスムーズに回転させるためのポイントとは?

週刊ゴルフダイジェスト2024年2月6日号より