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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.796「上達できるかどうかは、あなたの気持ちと行動次第です」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

前回のお話はこちら


いま一発当てるという「バズる」という言葉が流行っていて、地道にコツコツが敬遠される時代になってきました。コツコツすることの大切さを改めて教えてもらえますでしょうか。(匿名希望・40歳・HC18)


少しでも早く上手になりたい。

プロになるためがんばっているけど秘策はないか。

どんな人でも早い上達を望むはず。

手っ取り早い秘策があるなら今すぐ教えてほしい。

ゴルフへの打ち込み方や目標は人それぞれでも、レベルアップを願う気持ちは同じですし、気持ちはよくわかります。

ですが、これまでにもお話ししてきたように、上達や成長に一足飛びの近道はありません。

進歩や改革には必ずその準備が必要なのであって、それなしに前進はありません。

計画された目標に向けた変化は、その準備が整って初めて実現するというわけです。

プロを目指していたら、誰もが疑い、焦り、不安になることでしょう。

自分には向いてないとやめてしまえばそれっきりで、縁がなかったと諦めるしかない。

強い表現かもしれませんが、それが現実です。

上達できるかどうかは、誰のせいでもなく、あなたの気持ちと行動次第だと思います。


誰でもある程度の上達はすることができる。

ただ、その人がどこまでの上達を目標にしているのかが問題かと思います。

たとえば、多く質問が寄せられる、プロテストを目指して練習している選手たちのさまざまな悩みがあります。

なるべく寄り添って答えてあげたいのですが、仮にプロテストに合格したとしても解決しない問題であることも多いと思うのです。

というのも、仮にプロになってトッププロに成長して賞金王になったとしても、その悩みに対する解答を得るためには、毎日、地道にコツコツ努力を続けていくしかないからです。

趣味のゴルフなら、そこまで迷い込むことはないかもしれません。

ですがプロは……。

プロにとってゴルフは職業であり生活そのものです。

現状維持のためにそこそこ努力する、といった程度では務まらないですし、常に全力で今以上のレベルを求め続けるしかない。

そして、それは今も昔も変わらない宿命だと思います。

レベルアップの近道がないというのは、そういう意味なのです。

ゴルフブームに沸く現在、毎年行われるプロテストには多くのプレーヤーが挑戦し、合格するのは至難の業ですが、プロになっても競争はどこまでも続くことを心得ておかなければなりません。

そのためには、やっぱり地道にコツコツと日々積み上げることが本当に大切なのです。

少し話は変わりますが、USLPGAツアーの24年シーズンには、新たに3人の日本人選手が加わることになりました。

QTを勝ち抜いた、西郷真央選手と吉田優利選手、そして『TOTOジャパン』優勝で資格を得た稲見萌寧選手です。

熱く向上心を持ち続けるのは難しいことですが、戦う場を新たにするということは、地道な努力を積み重ねていくためのさらなるキッカケになるとも思っています。

そしてそのフィールドには、すでに米国で8年目を迎える畑岡奈紗選手をはじめ日本人選手たちがひしめき合っていて、いままでにない刺激をお互いに与え合うことも予想されます。

これがいい刺激になり、ひょっとしたらいままで地味だと思っていたようなことが、まったく思わなくなるようになってくるものです。

わたしがアメリカでプレーしていた1980年代とはまったく別世界!

でも、こうした時代の変化も日本のゴルフ界全体が、地道にコツコツ成長してきた証しの一つなのかもしれませんね。

「努力が楽しくなるときは必ず訪れます!」(PHOTO by AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2024年1月2日号より

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