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タイガーからのメールも力に。デシャンボー驚愕の370Y池越えドライブに同伴者も脱帽

ブライソン・デシャンボーが圧倒的なパワーでアーノルド・パーマー招待を制覇、今季2勝目を一番乗りで果たした。

ドライビングディスタンスナンバー1の彼のターゲットは決まっていた。試合前から条件が整えば6番531Yのパー5で「池越えのワンオンを狙う」と宣言。

予選ラウンドでは風の影響でチャレンジを断念したが、決勝ラウンドの2日間はティーからグリーン手前まで広がる巨大な池の真上からグリーンを狙う“デシャンボールート”にトライした。

池を越えるには最低でも340Yのキャリーが必要。並のプロでは絶対に越せないであろう池をデシャンボーは2日とも見事クリア。土曜日は370Y飛ばして手前のラフ、日曜日は377Yドライブで右のバンカーにつかまったが、難なくバーディを奪った。

彼がドライバーを手にした瞬間、入場が許されたギャラリー(1日8000人)から歓声が湧き起こる。独特のスウィングで放った打球が上空高く舞い上がり池を越えると歓声は喝采へ。本人は、丸太のような両腕を天に突き上げミッション成功を喜んだ。

前の組でプレーしていたジョーダン・スピースは振り返ってその光景に見入り苦笑い。最終日、同組で優勝を争ったリー・ウエストウッドは「見てて楽しい。飛んで方向もコントロールできるんだから素晴らしいよ」と笑顔。まるでサーカスの空中ブランコが成功したような騒ぎだった。「だからデシャンボーは面白い。彼はゴルフというスポーツの概念を変えるかもしれない」とテレビ解説のポール・エージンガーも声を弾ませる。

交通事故で重症を負ったタイガーもこのシーンを病室のテレビで見ていたはず。じつは最終日の朝、タイガーはデシャンボーにメールを送っている。「内容は伏せるけれど困難なのに僕のことを思ってくれているなんて本当に感激した」。 デシャンボーの飽くなき挑戦は続く。

この男、まだまだ進化の途上!(写真は2020年WGCメキシコ選手権。PHOTO/Tadashi Anezaki)

週刊ゴルフダイジェスト2021年3月30日号より