【江連忠のPROJECT E】Vol.240 宮本留吉「飛ばしはパワーじゃない」を体現したスウィング
片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroyuki Okazawa、GD写真部 THANKS/オーシャンリンクス宮古島
●今月のレジェンド●
宮本 留吉
1902年兵庫県生まれ。日本プロ初代優勝者(計4勝)。初めて米国遠征をしたプロで日本人初のメジャー出場を果たした。イベントでボビー・ジョーンズを負かしたこともあり、トム・ミヤモトの愛称で親しまれた
力を抜けば飛ぶことを
体現している打ち方
小柄な選手は体を鍛えて筋力でその弱点をカバーするか、スウィング精度を徹底的に磨いてカバーするかに分かれますが、宮本先生は完全に後者。160センチと当時としてもかなり小柄でしたが、260ヤード以上飛ばしたと言われています。
上のインパクトの写真でとくに見てほしいのが、全身を使ってターゲットを狙いながら球をとらえているのに上体はリラックスしているところです。これなら毎回芯に当たるし、よく言われる「飛ばしはパワーじゃない。力を抜けば飛ぶんだ」ということを体現しているスウィングだと思います。
体をしっかり回そうという意識からかテークバックはインサイドに入りますが、切り返しでクラブは“逆ループ”を描いてオンプレーンに下りていきます。フェースローテーションがしっかり入り、適度にヘッドを走らせていて、体主体でもクラブの性能を邪魔せず最大限に引き出すという究極の理想形です。
パワーがないアマチュアやジュニアは、現代のプロではなくこういうスウィングこそ参考にするべきです。
ベタ足だけどエネルギーは強く出ている
フォローまで右足が地面をしっかりとつかんで粘っているが、右サイドの動きは強くパワーがボールに乗っている。飛距離と方向性を両立させられるポイントのひとつ
宮本の系譜を継ぐのはこの選手
鈴木愛
インサイドに引いて逆ループを描いてオンプレーンに下りる
バックスウィングでリズムよく体を回してクラブはややインサイドに入るが、ダウンスウィングはしっかりとプレーンに乗ってくるため飛ばせる
江連忠
1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた
月刊ゴルフダイジェスト2023年10月号より
>>こちらもCHECK!