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【PGAツアーエキスプレス】Vol.21 ザンダー・シャウフェレ「次はパリで!」オリンピック連覇に懸ける思いとは?

ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第21回のテーマは、オリンピックの資格選考について。

取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター) PHOTO/KJR

前回のお話はこちら

もう一度金メダルを! シャウフェレの思い

一年延期され行われた東京オリンピック。灼熱の霞ヶ関CCで行われたゴルフは、女子は稲見萌寧が見事銀メダルを獲得、男子はメダルこそ逃したが、松山英樹が最後までメダルを争い、多くの国民にゴルフというスポーツの魅力を伝えてくれた。男子で金メダルを獲得したのは、ザンダー・シャウフェレ。誰にでもステキな笑顔を見せてくれるナイスガイで、PGAツアーで人気の選手だ。日本にもゆかりがある彼は、東京オリンピックでの金メダルには特別な思いを持っていた。

台湾生まれで日本育ちの母を持ち、祖父母は現在も東京の渋谷に住んでいる。「東京で金メダルを取りたい」と、シャウフェレは意気込んで臨んだのだ。終始安定感のあるプレー。“いつも通り”の強さを発揮し、金メダルを手にした後、こう話している。

「祖父母はもうすぐ90歳。この惑星で長年生きてきて、たくさんのものを見てきた彼らを感動させるのは、なかなか大変なことだよ。そう簡単には感動しないだろうからね(笑)。でも、この金メダルを見せたときの反応は、とても驚きだった。すごく喜んでくれたから。その表情を見て、僕は成し遂げたことの意味を理解することができたんだ」(シャウフェレ)

金メダルを獲得後、シャウフェレとコーチである父ステファンさんは、声をそろえて「次はパリだ!」と話したという。声高に宣言したのには理由がある。父ステファンさんには、ドイツとフランスの血が流れているからだ。しかも、交通事故によって断念せざるを得なかったが、それまでは10種競技の選手として、オリンピックの夢を抱いていたほど。父のルーツであるフランスで、もう一度メダルを取りたいと思うのは自然なことだろう。しかし、メダルを取るためには、当然ながらオリンピックに出場しなければならない。つまり、代表の座を獲得しなければならないのだ。特にアメリカは、言わずもがな、激戦区。そこで代表になるのが容易ではないことは想像に難しくないだろう。

オリンピックの資格選考のプロセスは2年間にわたる。公式世界ゴルフランキングを基にしたオリンピックランキングを活用するわけだが、男子の資格獲得期間は24年の6月17日。出場する大会の選手たちのレベルと順位でポイントが配分される。メジャー大会やザ・プレーヤーズ選手権のような上位選手がエントリーする大会で活躍すれば大きなアドバンテージを得られる仕組みだ。

まだ先と思っていたらあっという間にやってくる。オリンピックへの道は静かに、しかし確実に始まっている

稲見萌寧は見事銀メダルを獲得

世界ランキングで見ると、現時点で稲見は6番手。銀メダリストでも次の大会に出場できる保証はない厳しい戦い

月刊ゴルフダイジェスト2023年4月号より