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女子ツアーで注目を集めた“木製”観戦スタンド。採用の理由と意外な効果とは?

昨年の女子ツアー最終戦、リコーカップで目を引いたのが、“木製”のギャラリースタンド。国内初の試みに注目が集まったが、どのような背景があったのだろうか。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa

少し古い話だが、昨年11月に開催された女子ツアー最終戦のJLPGAツアーリコーカップ。舞台である宮崎CC青島Cに設置されたギャラリースタンドだが、国内ツアーでは初となる“木製”だったことをご存じだろうか。

実は、宮崎県はスギの生産量が31年連続で日本一の木材産出県。そこで同大会に関わるイベント企画・制作会社である吉本工芸の吉本有宏氏が木製の観戦スタンドを提案。同大会を主催する日本女子プロゴルフ協会が、スポンサーや同CCなどと協議して採用を決めた経緯がある。

「この計画を聞いたとき、これは県産木材を積極的にアピールする機会ですし、2050年のカーボンニュートラル実現やSDGsを推進する手段にもなると思いました。森林資源の活用、ひいては山村の活性化につながりますしね。今回使用したのは耳川の流域に植えられている杉です」と話すのは、同CC営業部長の中川俊一郎氏。

心配されたのは何といっても安全性。木のスタンドに何百人ものるのに強度はどうかという点である。計測の結果、安全性や耐震性は従来の鉄骨スタンドと遜色ないことが確認され、実現に至ったという。

「逆に利点もありました。階段の上り下りの音が全くしないのです。試しにわざと乱暴に歩いたり座ったりしましたが、音が木に吸収されてほとんど出ません。選手たちからも集中力を妨げないと好評だったと聞いています」(前出・中川氏)。

これを機会に同CCではクラブハウスの木質化もすすめるという。同CCから始まった試み、実際、トーナメント会場になるゴルフ場から引き合いが来ていて、これが全国に広がっていく可能性を秘めている。

記念撮影をする選手も

週刊ゴルフダイジェスト2023年2月7日号より