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「彼女は100Yから“入れる”ゴルフをしていた」米女子ツアー最多88勝のキャシー・ウィットワースがイブの夜に逝去

米女子ツアー史上最多の88勝を挙げたキャシー・ウィットワースが昨年末、家族や友人と過ごしたクリスマスイブに突然帰らぬ人となった。83歳だった。

「世界はこの世でもっとも素晴らしい女性のひとりを失いました。コース内だけでなく外でも真のチャンピオンだった彼女。多くの人に夢とインスピレーションを与えたキャシーに哀悼の意を表します」とM・マクー・サマーンLPGAツアーコミッショナー。

彼女が言うように、ウィットワースは女子プロの概念を塗り替えた本当の意味のレジェンドだった。

15歳でゴルフを始め59年にプロデビュー。33年のキャリアのうち17シーズンで少なくとも年間1勝を挙げ、7勝以上が7回。史上最多の88勝を挙げただけでなく、93回の2位をマークした。

デビュー当初は「ゴルフが下手だったのでやめようと思った」と謙遜したウィットワース。金物店を営む父と数人の地元ビジネスマンが向こう3年、年間5000ドルを先行投資してくれたおかげで競技を続けることができた。

最初に手にした賞金は30ドル。なかなか勝てずにもがいた後、プロ4年目で待望の初優勝、すぐに2勝目を挙げたが、当時は勝利より2位のほうが多かった。だが翌年年間8勝を挙げると、81年には女子プロ初の100万ドルプレーヤーに。最後の優勝は85年のユナイテッド・バージニア銀行クラシック。

「100ヤードから寄せるのではなく入れるゴルフをしていた」と証言するのは、キャリアの後半でキャディを務めたG・シャリダン氏。

ウィットワースの記録に挑み72勝を挙げたA・ソレンスタムはSNSで追悼の意を表し「ゴルフのハードルを上げてくれてありがとう」と綴っている。

現役を退いてからは後進の指導にあたり日本の選手にもレッスンを行っていた。長身でスリムな体型は現役時代から亡くなるまで変わらず。

やさしい笑顔で人々に愛されたウィットワース。安らかにお休みください。

記録にも記憶にも残るレジェンドだった(写真は2009年、Choice誌のインタビューにて撮影。PHOTO/Kiyoshi Iwai)

週刊ゴルフダイジェスト2023年1月24日号より