【ネクストヒロイン菅沼菜々】#1「トップで右足に乗らない」常識にとらわれない変則スウィングを貫く理由とは?
今シーズン、初優勝が6人も出ている女子ツアー。次なる初優勝にいちばん近いと注目されているのが菅沼菜々だ。父・真一さんの教えのもと磨き抜いてきたスウィングは一見変則的だが、実は個性を最大限に生かすための理に適った打ち方だった。「菅沼家の教え」に迫っていこう。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/八王子CC
メルセデスランキング:12位 獲得賞金:18位 平均スコア:6位
まだ優勝していない選手のなかで、今季もっともいい成績を収めている菅沼。いま初優勝にもっとも近いプレーヤーといえる
コーチを務めるのは父・真一さん
菅沼菜々の父でありコーチ。ときにやさしく、ときに厳しく。アマチュアゴルファーでありながら、菅沼菜々をシード選手にまで育て上げた
●CONTENTS●
#1 個性を生かす“4つの教え”
#2 調子が悪いときに行う“3つのドリル”
#3 転がりのいいパットを秘密は“アッパー軌道”
#4 安定スウィングの秘訣は“キックボクシング”
強い選手を真似るより
自分の中の感覚を大事にしてきた
GD 菅沼プロのスウィングは、コーチであるお父さんと作り上げたものなんですね。
菅沼 そうですね。父とゴルフをしてどんどん上手くなっていくのが楽しくて、いつのまにかここまで来たって感じです。どう振ればいいボールが打てるか、ああでもない、こうでもないと練習してきた結果ですね。
GD バックスウィングをアップライトに上げるのが特徴ですよね。
菅沼 ジュニア時代からずっとそうです。バックスウィングをタテに上げて、切り返しで左手首を掌屈させてボールをつかまえるので、私にとってはこのスウィング軌道が合っているんです。
GD お父さんが菅沼プロの個性を伸ばしてくれたわけですね。
菅沼 そうかもしれません。過去のプレーヤーの理想のスウィングに近づけるよりも、自分の振りやすさや感覚的なものを少しずつ固めていった感じです。
GD アップライトに上げるときに気をつけていることはありますか?
菅沼 左足体重をキープすることです。
GD 右に体重移動しない?
菅沼 しません。バックスウィングで右サイドに乗ると、トップが低くなってトップの“間”が取れなくなって、ダウンスウィングでオンプレーンに乗せにくくなるんです。
GD 良いと言われる動きが、菅沼プロにとっては振りにくい動きになってしまうんですね。
菅沼 そうですね。私にとっては、アップライトと左足体重が絶対なんです。
菅沼家の教え1
高く上げるほどオンプレーンに下ろせる
菅沼家の教え2
バックスウィングで左足体重をキープする
「バックスウィングを高く上げるために、左足体重をキープします。トップがリバースピボットになっても、私にとってはこれが普通。右足に重心を移動させると、トップが低くなってしまうんです」(菜々)
菅沼家の教え3
インパクトで左腰をその場でターン
「スウィング中は左足体重をキープして、インパクトで左腰を切るようにその場でターンさせます。腰を左にスライドさせると、インパクトが詰まってヘッドが返りすぎるので、絶対NGです」(菜々)
菅沼家の教え4
始動からインパクトまで1.65秒がベスト
「菜々は、トップの“間”がなくなると、ミスショットになる傾向があります。そのため、始動からインパクトまでの時間をときどき計っています。ベストは1.65秒。緊張する場面で、いかに打ち急ぎのミスを防ぐかが目下のテーマです」(真一コーチ)
菅沼菜々の取り組みをさらに深堀り!
>>調子が悪いときに行う“3つのドリル”とは?
>>転がりのいいパットを生む秘密とは?
>>安定スウィングのためのトレーニング法
週刊ゴルフダイジェスト2022年9月20日号より
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