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やさしいはずのUTがなぜ打てない?<後編>ティーショットからアプローチまで「シチュエーション別活用用」

前回は、岩本高志プロにユーティリティの基本的な打ち方のポイントを教えてもらった。ここからは、さまざまなシチュエーションに応じたユーティリティの使いこなし方を教えてもらおう。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Takanori Miki THANKS/桜ヒルズGC

解説/岩本高志

レギュラーツアーに参戦しつつアマチュアへの指導も行う異色のプロ。K’s GOLF LOUNGE所属。自身のYouTubeチャンネルも持つ

>>UTの基本的な打ち方は? 前編はこちら

ティーショットからアプローチまで
極めて汎用性が高い

UTはその名のとおり「便利=ユーティリティ」なクラブ。ちょっとしたコツをつかめばさまざまな場面で使えてアイアンやFWよりも汎用性が高いと岩本プロは話す。

「打ち出し角が高くてソールが広いのでラフからはアイアンよりもずっと打ちやすいです。でもネックに芝が絡むと引っかけのリスクが増えるので少しフェースを開いて使いたい。それに慣れればラフでは心強い武器になります」

ラフでは、フェースを開いてもカットに振ったり打ち込んだりせず、ノーコック気味に真っすぐ払い打ちするのがポイントだ。

「FWほど球が上がらず、シャフトが短いぶん方向性も出しやすいので、ティーショットでもすごく有効です。ただしレイアップするときに使うわけですから、飛ばそうとするのは厳禁。短く持ってコンパクトに振れば、ラインを出して安全に刻めます」


またアプローチでも、上手に使えばパターやウェッジではできない寄せ方ができ、ピンチに役立つという。

「実はUTは『転がしすぎたくない』ときに有効なんです。小さな振り幅で強めの出球で打ち出せるので、グリーン脇から『カラーまでは打ちたい。でもオーバーさせたくない』ときに、カラーまでの距離感で打てばショートの心配なく届かせられ、その先は惰性で寄っていくんです」

ラフ

手元の位置を左にズラしてフェースを開くの
ではなく、クラブを時計回りに回転させてグ
リップすることでフェースを開いて握ろう

フェースを開くことができれば圧倒的にやさしい

ラフでは引っかけを防ぐために少しフェースを開いて使えれば、高打ち出しと広いソールが生きてやさしく打てる。フェースは開いてもカットに打つわけではなく、普段どおりスタンスなりの軌道で振ってOKだ

【Point 1】
短く持ってどっしり構える

芝の抵抗に負けないようにグリップは短めにしっかり握る。スタンスは少し広めにして腰を落とし、どっしり構えよう。ボール位置は普段どおり左足かかとより1個内側でOK

【Point 2】
ノーコックで「U字」に払い打つ

手首のコックを抑えて、手前の芝ごと払い打ちするのがポイント。鋭角な「V字」ではなく、軌道の底が真っすぐ長いゆるやかな「U字」の軌道をイメージしよう

ティーショット

シャフトがしならないようにコンパクトに振る

ティーショットでは飛ばそうとするのは厳禁。クラブを短く持ってスタンスも狭めにし、コンパクトに振ろう。切り返しも静かに行い、シャフトをしならせずに体の回転でスウィングするイメージだ。狙った距離を打つ、もしくはレイアップ=飛距離を抑えるためにUTを持ったのに飛ばそうとして大振りするのは絶対にダメ

アプローチ

転がしすぎたくない場面ほど有効

転がしてグリーンには乗せたいがピンはオーバーしたくない、パターでは食われそう、PWではオーバーしそうという場面で有効。エッジまで打つ距離感で打てば、乗った後は惰性で転がるだけなのでオーバーしにくい

【Point 1】
短く持ってボールは真ん中

狭いスタンスでグリップをシャフトに手がかかるくらい短く持つ。左足体重で立ってボール位置は真ん中だが、シャフトがジャマになるので少しハンドファーストにして逃がす

【Point 2】
パターのように横からヒット

パターより少しハンドファーストだが、手首を使わずパターのようなショルダーストロークで小さくスウィング。ボールの芯をヘッドの芯で真横からヒットするイメージで打つ

右方向に打ち出す練習をしてほしい

UTを上手に打ちこなすためには普段どんな練習をしたらいいのか。岩本プロはアマチュアにどんなレッスンをしているのだろうか。

「僕はプッシュアウトを打つ練習をおすすめしています。球をつかまえるのはクラブに任せて、どちらかというと引っかけないように体の回転を優先して打つことを覚えてほしいんです。僕がレッスンをしているスタジオは、打席から右30度くらいの上のほうに時計が見えるんですが、その時計にぶつけるつもりで打てって言っています」

オープンに構えて右にプッシュアウトを打つ練習で、スタンスよりも右方向に打ち出すことができるようになれば、引っかけない自然な球のつかまりも身についてきて、スウィング自体もよくなるという。

「体の回転は止まっちゃダメ。最初は体の正面で左手の甲が真正面を向くイメージで、どプッシュを打っていいんです。そこから手を使わずにプッシュの幅を抑えられるようになれば、スウィングは安定してきます。ぜひ試してみてください」

オープンに立って右30度にスッ飛ばす

振り遅れることができるようになれば引っかけのミスは出なくなり、クラブもインサイドから下りる。これができるようになれば、球のつかまえ方のコントロールも身につく

スタンスはターゲットよりも少し左を向いて構え、意識的に振り遅れてボールをターゲットよりも30~40度右に打ち出す。振り遅れることができるようになったら、その度合いを少しずつ抑えていこう

月刊ゴルフダイジェスト2022年8月号より