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「胸椎リード」で飛ばす!<前編>佐々木朗希の投球にヒントあり。体を回す動きは“胸椎”が軸になる

ゴルフのスウィングでは「下半身リード」が重要とよく言われるが、実は「胸椎リード」を意識したほうがいいと大本研太郎プロは言う。なぜ胸椎なのか、どんな動きなのか、詳しく教えてもらおう。

TEXT/Kenji Oba PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos THANKS/GPC恵比寿

解説/大本研太郎

2018年PGAティーチングプロアワード最優秀賞受賞。東京・恵比寿でスタジオ「GPC恵比寿」主宰。スウィング理論だけでなく、マネジメントやメンタルにも精通する理論派。現在、女子プロの東浩子、藤田さいき、臼井麗香、永嶋花音を指導中

曲線的な動きに強い
「胸椎」を起点にする

「そもそも脚(下半身)を動かすから飛ばないし、曲がるんです」と言うのは、ツアープロコーチであり、体の機能にも詳しい大本研太郎プロだ。大本プロがスウィングの起点として指摘するのが「胸椎」。頚椎と腰椎につながる脊椎(背骨)で、12対の肋骨に接続している部分を指す。胸椎は左右に約35度、回旋する関節だ。

「短距離走や長距離走では、“腕を速く振れ”といった指導がされます。言うまでもなく、腕を速く振るほど、速く走れるからです。この腕の振りは、胸椎を軸に胸が左右に回旋することで生まれます。つまり胸椎が起点なのです。腕を振るから速く走れるのですが、その反対はありません。足を速く動かしても腕は動きませんよね。ここに“胸椎リード”のヒントが隠されています」

28年ぶりに完全試合を成し遂げた千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希も優れた胸椎リードの投手だという。球速アップのために右胸を開いてテークバック。このとき胸椎を軸に左右の腕が反対方向へ動いているのがわかる。

「野球の場合、ボールを投げる右手を注目しがちですが、実は大事なのはグローブを持った左手です。左胸を閉じながら右胸を開くことで捻転を作り出し、リリースに合わせ、左胸を開いて右胸を閉じることで腕を振るスピードが飛躍的に上がるのです」

飛距離はヘッドスピードで決まる。ヘッドスピードは腕を振るスピードに大きく影響される。つまりスウィングも佐々木投手のように胸椎リードが使えれば、飛距離が伸びる、というわけだ。

大本プロによるとスポーツは直線と曲線、2種の動きがあるという。前者は弓道やビリヤードなど、ストレートな押し引きの動きが主体。一方、ゴルフを含む多くのスポーツは上下、左右、前後の3Dな動きが求められる、曲線のスポーツなのだ。

「股関節は胸椎と同様、可動域の広いモビリティ関節ですが、構造自体は直線の動きに適しています。前進なら速く走れますが、サイドステップでは速く走れないはずです。これに対し胸椎は左右に35度回旋することに連動して肩関節の可動が加わり、3Dな動きが可能になります。つまりスウィングは、下半身リードよりも胸椎リードを意識すべきなんです」

下半身リードでは直線の動きしかできない

股関節は肩関節と同様、球関節で可動域が広いが、直線の動きに適している。曲線となるスウィングの動きは下半身リードより胸椎リードが最適なのだ

では胸椎を正しく動かすにはどうすればいい?

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月31日号より