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【イザワの法則】Vol.14「HS40m/sの女子プロが一般男性よりも飛ばせるワケ」

世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」第14回。男性アマチュアに比べて、平均身長や筋力で劣るはずの女子プロが、ドライバーの平均飛距離でははるかにアマチュアを上回る。女子プロの打ち方が特別なのか、それとも、アマチュアの打ち方が間違っているのだろうか? 伊澤の見解は?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

前回のお話はこちら

女子プロと男性アマチュアの差は
「最大効率」かどうか

よく、男性アマチュアと女子プロのヘッドスピードが、どちらも40㎧くらいでほとんど同じなのに「女子プロのほうが飛ぶ」と言われます。ですが、女子ツアーの平均飛距離は230ヤードくらいですから、ヘッドスピードに対する最大効率の飛距離が出ているだけで、ヘッドスピードのポテンシャルを大きく超えて「飛んでいる」ということはないと思います。むしろ、男性アマチュアのほうが、最大効率以下で打っているから、女子プロと比較すると「飛ばない」ということですね。

自分のアカデミーで、たくさんのアマチュアを見ていて気付いたのは、練習場とコースだと「コースのほうが振れていない」人が多いということです。どうしてそうなるかというと、やはりコースだと「曲がることへの恐怖」があって、無意識のうちにスウィングをゆるめて「当てよう」としてしまうんだと思います。そうすると、練習場で計測したときに、ヘッドスピードが40m/sくらいだったとしても、コースではそれより2~3m/sはスピードが落ちている可能性が高い。それだと、仮に最大効率でヒットしたとしても、200ヤードそこそこ、少し当たりがよくないと180ヤードくらいしか飛ばないことになります。おそらく、男性アマチュアの平均飛距離は、それくらいじゃないでしょうか。

「曲がらない」という自信が持てれば
ますますヘッドは走る

女子プロが最大効率で飛ばせるからくりとして、そもそも女子プロは男性ゴルファーのように、インパクトで急激にヘッドを操作する腕力がないですから、ボールが曲がる原因になるスピンがかかりづらいということがあります。曲がるリスクが少ないので、自信を持って振るから、ますます振れるようになるという好循環が起きるわけです。加えて、プロはロフトやシャフトなどのスペックが、自分にぴったり合った道具を使えることも大きいです。

対して、男性アマチュアの場合は、なまじ力があるので、ボールが曲がる原因のスピンがかかりやすい。それで、一度曲げてしまうと、怖くて次からは思い切って振れなくなるという悪循環が起こります。もちろん、市販のクラブを使う限り、女子プロのように、完全に「自分にぴったり」というわけにもいかないでしょう。

また、コースで逆に「振りすぎてしまう」という人も、ある程度はいます。覚えておいてほしいのは、そもそも曲がりの大きい、とくにスライス系の人の場合、強く振れば振るほど、曲がりが大きくなって、むしろ飛距離をロスしてしまうという点です。そういう人は、むしろ意識して軽く振ったほうが、飛距離が伸びる可能性はあります。

それと、「このホールは飛ばしたい」と思ったときは、「強く振る」とか、「強く当てる」ではなくて、少しだけ「回転を速くする」というイメージで振ると、曲げずに飛ばせる確率が上がると思います。プロが強く振る場合は、全体のスピードが速くなるだけで、スウィングの大きさは変わりません。トップの大きさも、普段とまったく同じです。あとは少しだけ手をスムーズに振る。そうすると、女子プロ並みの最大効率ショットができるかもしれません。

「プロは強く振っても安全に振っても
『加速』スウィング。
アマチュアは『減速』で曲げてしまう」

飛ばすためには「振り切る」ことが大切

自信を持って「振り切る」というのが、実は飛距離を出すのに必要な最大の要素と言える。「不安」や「迷い」があると、どうしてもインパクトに向かって「減速」する振り方になりやすく、飛距離をロスするだけでなく、曲がる原因にもなる

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2022年1月号より