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【イザワの法則】Vol.13「テークバックは“どうでもいい”」オンプレーンの真実

世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」。第13回のテーマは「オンプレーン」について。ブライソン・デシャンボーのように、完全な「ワンプレーン」を目指す選手もいるが、果たして伊澤はどう考える?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

ダウンスウィングだけオンプレーン
なら上げ方はどうでもいい

「オンプレーン」という言葉は昔からありますが、それはあくまでダウンスウィングでの話で、(ブライソン)デシャンボーみたいに、最初から最後まで「ひとつのプレーンで」となると、また話は違ってきます。デシャンボーが目指しているような、「究極のワンプレーンスウィング」は、理論的には可能なんでしょうけど、実際にやるとなると、体の使い方が難しいような感じがします。それに、腕からクラブを真っすぐにして、手首をなるべく使わないようにして打つので、飛距離的には不利な部分もあるはずです。だからこそ、デシャンボーはあれだけ体を大きくする必要があったんじゃないかと思います。


デシャンボー以外の、95%のプロは、テークバックで上がっていくプレーンが、ダウンスウィングで下りてくるプレーンより高い位置にあります。つまり、ダウンスウィングだけオンプレーンなら、テークバックはそうでなくていいということです。また、ドロー打ちのプロと、フェード打ちのプロでは、同じ「オンプレーン」でも、少しだけ軌道が違います。ドローはわずかにシャロー(ゆるやか)、フェードはわずかにスティープ(鋭角)になっているのが普通です。ただこれは、視点の問題で、ドローは軌道自体がイン-アウトなので、飛球線後方(ターゲットの真後ろ)から見るとシャローですが、軌道の真後ろから見ると完璧にオンプレーンになっています。

フェードとドローでは
プレーンのイメージが違っていて当然

つまり、どういうプレーンで振るかというのは、まず自分の持ち球によって決まるということです。私は持ち球がフェードですので、どちらかというとプレーンが全体的にアップライトですが、最近はダウンスウィングで、少しだけシャローめに下ろすようにしています。とくにドライバーの場合は、ドロー打ちもフェード打ちも、少しシャローのほうが方向性はよくなります。なぜかというと、シャローのほうがフェースの開閉が少なく、少なくともフェースがかぶる心配がないので、フェースが開きすぎないようにだけ気を付ければよくなるからです。その分、ティーショットのストレスは減ります。

先ほど、デシャンボー以外の90%は、テークバックの軌道のほうがダウンスウィングより高いと言いましたが、残りの5%くらいは、逆に、テークバックの軌道がダウンスウィングより低く(フラットに)なっています。鈴木愛選手とかは、このタイプですね。基本的に、ダウンスウィングの軌道さえオンプレーンになっていれば、上げていく軌道は「どうでもいい」のですが、個人的に、とくにアマチュアには、テークバックをフラットにするのはあまりおすすめしません。フラットに引いてオンプレーンに戻すというのは、切り返しで逆ループの動きになるときに右肩が前に出やすく、そうすると簡単にフェースがかぶって、左方向にスピンの少ない球が出るからです。つまり、フラットテークバックはリスクが高いということです。ちなみに、ドライバーとアイアンで少し軌道が異なる(ドライバーだけシャロー)というのは「あり」だと思います。

「『ワンプレーン』の理想形はデシャンボー。
ただし、彼も曲がらないわけではない」

アップライトに上げてオンプレーンに振る

テークバックを高く(アップライトに)上げて、切り返し以降にオンプレーンまで引き下ろすスウィングのメリットは、ダウンスウィングで必然的にクラブがシャロー(ゆるやか)に下りることと、右肩が前に出づらく、上体が開きにくいことの2点

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2021年12月号より