Dr.クォンの反力打法 Vol.10 左ひじが引ける“チキンウィング”も反力で防げる!
反力打法は、スウィングスピードをアップさせるだけでなく、スウィングで生じがちな「あるミス」を防ぐ効果もあるという。それはいったい――?
【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家
クォン ヒロは「チキンウィング」についてどう思う?
吉田 美味しいですよね。居酒屋の定番です。
クォン そうじゃない、これだ!(左のひじをぐいっと曲げる)
吉田 ああ、いわゆる「左ひじ引け」ですね。なかなか直すのが難しいクセのひとつです。
クォン 実はゴルファーに多いこの現象も、反力打法を覚えればすぐに直すことができる。
吉田 本当ですか?
クォン まずは下の図を見てもらいたい。手から伸びている矢印は、手元に働いている力の向きと大きさを表している。
吉田 今回は足の話ではないんですか?
クォン まあ焦るな。この手の力、ダウンでは体の外側を向いているね。
吉田 そうですね。
クォン しかしそれが、インパクトでは自分の体を向いている。
吉田 腕を左に振っているのに、手の力は上を向いている。なんだかヘンな感じがします。
クォン 実はこの内向きの手の力が、インパクトで重要な役割を果たしているんだ。
吉田 どういうことでしょう。
クォン スウィングでは、大きな外向きの力=遠心力が生じる。放っておくと、クラブに上体が引っ張られ、ダフってしまう。
吉田 そうか! それを防ぐのが、手元の力……。
クォン ここで気をつけてほしいのが、決してインパクトで手を引っ張るわけではないということ。
吉田 手でクラブを引っ張ると、「チキンウィング」になってしまいますね。
クォン だから、手がすべきことは「しっかり握る」こと。
吉田 それだけでいいんですか?
クォン 手ができることはそれだけだね。これ以上のことをしようとすると、いろんなミスが出る。
吉田 では、ダフらないためにはどうすれば?
クォン ここで登場するのが「地面反力」だ。
吉田 待ってました!
クォン 飛球線後方から見ると、インパクトで左足の反力のベクトルは、やや前側に傾いている。
吉田 あ、以前説明していただいた「飛球線軸の回転力」ですね。左足の反力によって、上体をボールから遠ざける方向の回転力が働く、と。
クォン そのとおり。インパクトにかけて左足を踏み込むことで、クラブの遠心力と拮抗する力を生み出すことができるわけだ。
吉田 反力によって体とボールの適正な距離が自然と保たれるから、手が余計な操作をしなくていい。それで「チキンウィング」が防げるというわけですね!
反力によってボールとの適正な距離が保たれる
インパクトにかけて左足をややかかと方向に踏み込むことで、前向きの反力が生じる。これが上体をボールから遠ざける方向への回転力を生む。遠心力に引っ張られて上体が前に倒れるのを防いでくれる
Dr. クォン&吉田洋一郎
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