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「器用な右手は殺さず生かす!」木下稜介のチーピン解消物語【奥嶋コーチの珠玉レッスン後編】

PHOTO/Yasuo Masuda、Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara、KJR
THANKS/Sansan KBCオーガスタ、ダンロップ・スリクソン福島オープン、日本ゴルフツアー選手権

今季急成長を遂げた稲見萌寧と木下稜介を指導する奥嶋誠昭コーチ。いったい2人にどんなことを教えてきたのか。後編では、チーピンに悩んでいたという木下を精度の高いドローヒッターへと転身させた方法を教えてもらった。

前編はこちら

解説/奥嶋誠昭

おくしまともあき。1980年生まれ。神奈川県出身。ツアープロコーチとして、稲見萌寧プロ、木下稜介プロ、イ・ボミプロ、高橋彩華プロを指導。横浜のノビテックゴルフスタジオで、GEARSを使ったアマチュアレッスンも行っている

危険なフックが
狙えるドローに進化した

GD 6月にいきなり2試合連続優勝でゴルフ界を驚かせた木下稜介プロも、奥嶋コーチが指導しているんですね。

奥嶋 2019年の11月から見ています。木下プロは稲見プロとは真逆で、右手がすごく器用な選手なんですよ。

GD 右手が勝ってしまう?

奥嶋 
大事なところでそれが出て、フックがくる。いわゆるチーピンですね。でもそれは、右手にとてつもない才能を秘めているということでもあるんです。

GD 器用な右手を生かしていくということですか?

奥嶋 そうです。木下プロのスウィングの個性ともいえる、少しインに上げるバックスウィングだったり、男子プロには珍しいオーバースウィングだったり、切り返しのループだったり、そういったものはそのままにして、器用すぎる右手を体の動きとシンクロさせる、その1点に集中して指導しました。手と体の一体感が生まれたら、フックがドローに進化するはず、と信じていたからです。

【個性1】
インに上げてインから下ろす

「クラブをややインに上げる傾向がありますが、たとえインに上げても、正確にインから下ろせるならそれでOK。ヘッド軌道は木下プロの感性を生かしています」

【個性2】
切り返しでクラブをループ

「ややオーバースウィングですが、切り返しでわずかにループを入れて、正確にオンプレーンに乗せています。この無意識の動きも木下プロの大切な個性です」

ここを強化!
腕と体をシンクロさせる

「右手の過剰な動きが消えて、腕と体の動きがシンクロするようになったので、両腕は体の正面をキープしたまま自然に伸ばされています。これは、インパクトでしっかりボールを押せている証拠でもあります」(奥嶋)

木下稜介の1Wスウィング

右手打ち
手と体の一体感を強化

GD 木下プロにはどんな練習をやらせているのですか?

奥嶋 右手での片手打ちです。木下プロの右手の才能を生かすには、右手と体が連動して動く必要がありますからね。やってみるとわかりますが、右手1本で振ると、体の回転で打つってこういうことか、と実感できるんです。

GD 松山プロもやっていますね。

奥嶋 男子プロのヘッドスピードの速さでは、手と体の一体感がないと、フェース面をコントロールできないんです。そういう意味でも、これは本当に有効な練習法です。

Drill 1
右手1本でボールを打つ

「木下プロは器用な右手が動きすぎるため、右手だけでSWを持ち、ボールを打つドリルをやってもらいました。目的は手とクラブのシンクロ。繰り返し繰り返しボールを打っていくうちに、手と体の一体感が生まれます」(奥嶋)

Drill 2
ソールを滑らせてボールを飛ばす

「SWのハーフショットのスウィングで、ボールの30~40センチ手前にヘッドを落とします。そこからソールを滑らせてボールを弾きます。ドローに欠かせない、インからシャローにヘッドを入れる感覚をつかみます」

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月14日号より

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