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「持ち味を生かせるのはドローではなくフェード」堀琴音を初優勝に導いた発想の転換とは?

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki

国内女子ツアー史上最長セッティングの6763Y。桂ゴルフ倶楽部での4日間を制したのは堀琴音だった。3年前の賞金シード落ちからどう立て直してきたのか。きっかけは、ドローにこだわっていた球筋を低いフェードに切り替えたこと。どん底状態だった2018年から堀のゴルフを支えてきた森守洋コーチが振り返った。

解説/森守洋

米国で4年間ゴルフを学んだ後、陳清波に師事。2002年からレッスン活動を開始、堀琴音をはじめ、原江里菜、福田真未も指導

手元が低いインパクトは
まるでトレビノ

2018年から見るようになりましたが、人生最悪というほど絶不調な時期でした。出場試合の7割以上が予選落ち、10試合以上連続で予選落ちしているときに来たんです。確かサマンサタバサ(7月)の時に初めて見たのですが、手首のスナップを使いすぎたすくい打ちで力のない球を打っていた記憶があります。

本来の彼女はショットメーカーですが、すくい打ちが強く、アイアンでさえ入射角がプラス(=アッパー)傾向。PWで打ってもらってもターフが取れないほどでした。

アップライトに高く上げる特徴的なテークバックはアンチセオリー的ですが、始動は本人にとって大きな部分なので「あまり変えないほうがいいな」と判断しました。

インパクト前後で手の通り道が低く抑えられるのが堀の特徴。「リー・トレビノのインパクトを彷彿とさせる体使いで、それを生かすのがローフェードの弾道イメージです」と森コーチ。左はトレビノのインパクト。ここからインサイドへ低くヘッドを走らせ、強いフェードを放っていく。1960~80年代に活躍、メジャー6勝

実は、大きく変えたのはスウィングではなくイメージなんです。彼女のスウィングはどう見てもフェード向き。高いトップからクラブが加速しながら下りてきて、インパクトでは手元がとても低く抑えられる。フェードの名手、リー・トレビノみたいですよね。フォローサイドの手元も低いまま振り抜けます。それなのに本人はドローにこだわるあまり、打ちたい球筋と自分の動きのギャップが大きく、技術だけでなく、メンタルもボロボロに近かった。

本来、彼女が打つべきフェードに、「頭のイメージをどう切り替えさせるか」という点に集中し、そのすり合わせを重ねてきました。「100言って1わかってくれれば」という作業の繰り返しでした。

堀琴音の1Wスウィング(後方)

アマチュアと一緒に
ひたすら「連続打ち」

「スウィングをいじらずにイメージを変えただけ」と説明しましたが、どうしても改善したいポイントがスウィングの後半にありました。(手元の)低いインパクトから低いフォローへ振っていくのが理想ですが、以前のスウィングではフォロースルーでカクッと軌道を変えてしまうクセがありました。フォローがいびつだとスウィング全体の再現性も下がります。

そこで、私のスタジオでアマチュアの生徒たちと一緒に、基本の「連続打ち」を延々とやってもらいました。その成果で、今では滑らかな円軌道が描けるようになってきました。本人が持つ鋭敏なフェースワークの感覚をなくさないようにしながら、クラブの動きだけに着目した3年間でした。

「こっちゃん(琴音の愛称)の武器は低いフェード」だと、私は確信していたのですが、本人のドローへのこだわりは強く、今年の開幕戦の沖縄初日(ダイキンオーキッド)も、ドローでプレーしてボロボロの結果だったんです。すかさず、「いよいよ低いフェードを試してみたら」と言ったら、それが見事にはまりました(初日76・2日目69)。

それから4カ月、今回のプレーオフもずっとフェードで攻め続けて初優勝につなげましたが、その起点が、あの沖縄の地にあったと思っています。

堀琴音の1Wスウィング(正面)

週刊ゴルフダイジェスト2021年8月3日号より