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ドライバー200Yでも70台は出せる! 「飛ばなくても上手い人」に学ぶスコアメイク術 <考え方編>

80台は出るようになったけど、70台の壁が厚い……。もっと飛距離がないとダメ? いえいえ、そんなことはありません。ドライバーが200Yそこそこでも、70台は出せる! 飛ばない達人たちに話を聞いた。

TEXT/Masato Ideshima PHOTO/Shinji Osawa、Takanori Miki、Hiroyuki Okazawa THANKS/ゴールデンクロスCC、嵐山CC、湘南シーサイドCC

【考え方編 1】岸部桃子プロの場合

打ち方はシンプル
打つまでの準備がスゴイ!

80切りを目指すライター・出島氏が女子プロの岸部桃子とラウンド。技術の差はもちろんだが、それ以上に考え方に大きな差があることを感じたという。

岸部桃子プロ

きしべももこ。1994年生まれ福島県出身。ステップ・アップ・ツアー、ツインフィールズレディースで優勝し、先日のヨネックスレディスでも4位タイに入る活躍をみせた

「よくグリーンから逆算して考えることが大事と言われますが、岸部プロはまさにそれを実践していると感じました」と出島さん。漠然とティーアップして、フェアウェイの真ん中を狙って打ち、セカンドもピンを狙って打つだけの自分に対し、「プロはつねに次の1打のことを考えている。もちろん、技術的な差も大きいですが、それ以上に考え方や気持ちの部分で大きな差があるんだと感じました」

【ここが違う 1】
自信を持って打てるクラブがある

狙う場所が狭いなどプレッシャーがかかる場面でも自信が持てるクラブがあると、不安要素をひとつ排除することができる

【ここが違う 2】
打つ前の準備に時間をかけている

プロは短い時間でできるだけ多くの情報を手に入れる努力をする。2打目も同じでつねに次のショットを考えながら打つ

【ここが違う 3】
どんなときでもリズムが変わらない

プロはミスをしても同じリズムで次のショットに入る。一方の出島さんは、少しのミスをきっかけにズルズルとリズムを崩してしまう

【ここが違う 4】
アプローチで特殊な技を使わない

パーをセーブするのが目的なら特殊な打ち方は必要としない。難しいところにいってしまった場合はパーを諦めることも必要

【考え方編 2】菅井雅之さんの場合

セカンドの狙いは4時~8時
「横」と「奥」は徹底的に避ける

続いて話を聞いたのは、日本シニアに6度の出場経験を持つベテラントップアマ、菅井雅之さん。グリーンを狙うショットは絶対に横や奥につけないことを徹底しているという。

菅井雅之さん(66歳・HC4.2)

すがいまさゆき。日本シニアゴルフ選手権6度の出場経験を持つテクニシャン。飛距離は200Y

トップアマの菅井雅之さんは、2打目の考え方について次のように語る。

「プロのようなショット力があれば、ピンをピンポイントに狙ってもいいと思いますが、我々アマチュアの場合はやはりショットにバラつきが出ます。なので僕は、どんなときでもピン手前20ヤードまで許容範囲を持たせて狙います。時計の文字盤で4時~8時の範囲に収まるようにすることで、たとえグリーンに届かなくてもパーが狙いやすい場所から3打目を打つことができます。


そのために大事なのは、ピンに絶対に届かない番手を選ぶこと。

「例えば残り150ヤードの場合、僕は6番で150ヤードなので、7番で打ちます。すると、ダボの危険性もあるグリーンの奥やピンの真横につく可能性を確実に消せるので、安心してパーが狙えるんです」

ピンに絶対に届かない番手を持ち、理想は4時~8時のグリーン上。グリーンに乗らなくても4時~8時の扇状範囲なら3打目が寄せやすいアプローチになる。4時~8時の範囲のバンカーに入っても、奥よりはいいと割り切っている

【考え方編 3】高松志門プロの場合

「7と8で迷ったら『6』を持ったらええ」

「考えすぎず自然体でプレーする」ことがモットーの高松志門プロ。プロに言わせればアマチュアは「修行のように」ゴルフをしている。それは2打目の考え方も同じだという。

高松志門プロ

たかまつしもん。深みのある言葉でゴルファーを上達に導く。月刊GDで「あんた一人をCADDIEしまっせ」連載中

2打目で、間の距離で迷っている方をよう見るけど、それは“無駄な迷い”です。例えば、「7(番)だと“ちょっと”大きいかな、8だと“ちょっと”短いかな」という、中途半端な距離が残った場面で、7を持ったとする。7を持った時点で、オーバーでOKと思わなあかん。「ちょっと大きいかな」と思いながら打つと、加減をするからごっついショートしてしまう。ゴルフの“ちょっと”は100%やから、自分のなかでは5%とか10%くらいの気持ちでも、実際はえらい加減してしまう。逆も同じ。ちょっと短いと思って8を持ったら力んでフックする。

そもそも、1本のクラブの誤差は11〜13ヤードくらいある。ちょうどの距離が残ることはまずなくて、たいがい中間距離が残るもの。だから、そこまでシビアに考える必要はないわけや。

奥田(靖己)には「7と8で迷ったときは6持たんかい」と言ったことがある。結局、7持ったって加減する。8持ったら力入る。ほんなら、6を持ってしまえばなんとかなるもんなんやね。6でもゆるむと思うかもしれんが、案外ゆるまん。それだけ大きなクラブを持てばいい具合になる。これが7を持つとゆるむんよね。

大事なのは、どうしたら自分が楽にゴルフができるか。プロ目指すんと違うなら、そんな余計なこと考えんともっと楽にやったらええ。そしたらスコアもよくなるんちゃうかな。

【考え方編 4】中田春加さんの場合

ピンチでもチャンスでも
常に心の余裕を忘れない

最後に話を聞いたのは、男性に交じりクラチャンを獲得した経験もあるトップアマの中田春加さん。スコアがまとまる人とそうでない人の違いを「余裕」の有無と分析した。

中田春加さん(35歳・HC2)

なかだはるか。キングフィールズGCでクラチャンを獲得したことも。現在は2児の母であり、競技ゴルファーでもある

中田春加さんは男性に交じってクラチャンを獲得するほどの腕前。そんな中田さんが80を切れない男性を見て感じることは“余裕のなさ”だと言う。

「70台を出すために必要なことって技術だと思いがちですけど、実は気持ちや考え方のほうが影響は大きいんです。よく見るのがひとつのミスに一喜一憂して気持ち的に余裕がなくなってしまうケース。もう少し余裕を持てればいいのになと思います。ゴルフにミスはつきものだし、そのたびに焦っていたら最後まで体力も集中力も持ちません」

事前の準備や朝の時間の使い方、ラウンド中の振る舞いなど、常に余裕を持つことでやるべきことが見えてくる。「前ばかりを見るのではなく、ミスをしたときこそ立ち止まる勇気を持ってほしいですね」

【余裕を生むコツ 1】
スタート前はプロの動画を見る

スタート前の練習も大事だが、スウィングの良いイメージを植え付けることも効果的だと中田さん。「リズムのいい、プロのスウィング動画を見るのがオススメです」

【余裕を生むコツ 2】
ラウンド中にたくさん歩く

中田さんの経験上、上手い人の共通点はよく歩くこと。「歩く時間を“考える時間”として活用すると、周囲を見る余裕も出てきますよ」

【余裕を生むコツ 3】
「とにかく前へ」の気持ちを捨てる

ミスショットをしてもそれをすぐに取り返そうとしないこと。次が打ちやすい場所に出すためのベストな方法を探そう

【余裕を生むコツ 4】
切り替え方法を持っておく

バーディがくると、気持ちが浮ついて次のホールで叩いてしまうケースも。あくまでラッキーと考え、サッと次のホールに向かうようにする。またダボを叩いた次のホールはボールとティーを替えるなど、自分なりの切り替え法を持っておく

【余裕を生むコツ 5】
自分の力を過信しない

出だしからパーが続いたとしても、パープレーを目指してラウンドしないこと。ひとつのボギーやミスで気持ちが落ちてしまい、立て直すことができなくなる。自分のハードルはあくまでも低めに

青木瀬令奈が語る<セカンド編>はこちら

月刊ゴルフダイジェスト2021年8月号より

※登場したアマチュアはボランティアとしてご協力いただきました