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今季メジャーはこの5人に注目! 松山のライバルたちのスウィングをクローズアップ

PHOTO/Taku Miyamoto、Tadashi Anezaki

マスターズ2位のウィル・ザラトリス、3位のザンダー・シャウフェレなど、いまPGAツアーは誰が勝ってもおかしくない実力者ぞろい。今季メジャーの優勝争いに絡んでくるであろう5名の選手をピックアップ。そのスウィングをレックス倉本に解説してもらった。

解説/レックス倉本
テレビの解説でもおなじみの、フロリダ在住プロゴルファー。PGAツアーや米国ゴルフ界に精通している

回転、体重移動、地面反力
サイドベンド……飛ばしの
要素がてんこもり

まず注目は若手のウィル・ザラトリス。今年に入って安定して上位に来ていましたが、マスターズに初出場して単独2位という素晴らしい成績を残しました。

そんな彼のスウィングは、とにかくパワフルでありながら、かつ曲がらない安定感があります。まずノーコックでクラブを上げ、アークを大きく使います。ノーコックの分、切り返しからコッキングが始まり、タメを作りながらクラブを下ろしています。さらに体の右サイドがサイドベンド(側屈)して右ひじを絞り込んでいます。体は開いていますが、顔はしっかりとボールを向いてインパクトしています。フォローでは両手を返さず、手首の角度をキープしたままクラブを振り抜くことでフェース面が安定します。

スウィングのパワーは、回転+体重移動+地面反力と言われていますが、彼はこの3つを上手に使っています。さらにサイドベンドによってヘッドが加速し、飛距離と正確性の両立ができています。これから先も優勝争いに絡んでくることは間違いないですね。

ウィル・ザラトリス
「飛んで曲がらない新世代スウィング」

身長188cmの長身に加え、柔軟性も高いザラトリス。インパクトでベルトのバックルがターゲットを向いているが、これも柔軟性があるからこそできる形。飛距離が求められるアメリカの環境が生んだ“次世代スウィング”

デシャンボー、スピース
シャウフェレ、トーマス
共通点はインパクトの右ひじ

ブライソン・デシャンボー、ジョーダン・スピース、ザンダー・シャウフェレ、ジャスティン・トーマス。この4人はそれぞれスウィングのタイプは違いますが、共通しているのは「右ひじが伸び切らずにインパクトを迎えていること」。右ひじを絞り込みながら手元をインサイドから下ろしてくると、ヘッドを加速させながらもフェースローテーションが抑えられます。飛距離が求められるPGAツアーでは流行りの形です。

この右ひじの絞り込みを極端に行う人は体を回転させて打つタイプ。ほどよく緩みがある人はその他のパワーを使いたいタイプです。デシャンボーは振りちぎっているように見えますが、右ひじの絞り込みや左寄りの重心位置など、飛ばすための要素がたくさん入っています。シャウフェレはここ最近大きくスウィングを変えていませんが、右ひじの絞り込みを行う選手の1人で、加速するヘッドのパワーを上手く使って飛距離を確保できています。

この2人の形とは少し違うのがスピースとトーマス。スピースはバランスよくパワーを使い、独特な左ひじの抜きで安定感のあるスウィングができています。トーマスは地面反力を最大限に使って飛距離を出しながら両肩の動きでスウィングの再現性を高めています。

ザラトリスを含めた5人とも、両手首のアングル(角度)をキープしたままのインパクト、フォローができていて、飛距離と正確性を両立しています。この飛距離時代に正確性をも兼ね備えたこの5人は、間違いなく松山英樹選手とともにメジャーの優勝争いに絡んでくるでしょう。

ブライソン・デシャンボー
「下は地面反力、上はトルク」

「スウィング中の重心は左足におき、下半身で踏み込みながら上半身の回転力でスウィング。ここまで速く振っているのに頭の位置が安定しているのはもう異次元の世界ですね」

ザンダー・シャウフェレ
「サイドベンドからの右足の蹴り」

「一定のリズムで打つ彼のスウィングの特徴はハーフウェイダウンからの力強さ。サイドベンドしながら右足の蹴りで腰が水平に回転する。このスウィングは完成形に近いと言えるでしょう」

ジョーダン・スピース
「腕の脱力が安定感を生む」

「ここ最近調子が上がってきましたが、やっぱり腕の脱力がポイント。3つのパワーをほどよく使いながら腕は適度に力を入れる程度。独特な左ひじの抜きも、上手く脱力できている証拠です」

ジャスティン・トーマス
「地面反力を最大限に活かしたスウィング」

「ハーフウェイバックからトップにかけて肩の回転量が変わらず、手を真上に上げ、切り返しで下に踏み込むための準備をすることで最大限の地面反力を受けています。両肩を縦に入れ替えることでスウィングの再現性も高めています」

週刊ゴルフダイジェスト2021年5月25日号より