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【しなりで飛ばす】#1 シャフトのしなりが使えれば頑張らなくても飛ばせる!

飛ばすには「ヘッドに仕事をさせる」ことが大事だとよく言われるが、シャフトのしなりを使って効率よくヘッドを走らせるにはどうすればいいのか。まずは軟らかいシャフトを使うようになってイップスを克服した田中秀道プロと、今年日本シニアオープンに出場してシニアプロたちのスウィングからヒントを得たという早川佳智プロに話を聞いた。

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/ARAKISHIN、Takanori Miki、Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Getty Images THANKS/東名古屋カントリークラブ、六甲国際ゴルフ倶楽部

田中秀道 たなか・ひでみち。20年近く不調だったが、昨年「コスモヘルスカップ」で15年ぶりのトップ10フィニッシュを果たした。シャフトは「ツアーAD CQ 6S」

ふにゃふにゃクラブで
打ったら往年のドローが!

日本ツアーで10勝を挙げ海外ツアーにも参戦。しかし、ドライバーイップスの発症により昨年の3月までゴルフをしたくないと思う状況だったという田中秀道。現在シニアツアーに参戦できるようになったのは、軟らかいシャフトを手にしたことがきっかけだという。

「昨年の春先のことですが、おじいちゃんが使うような“ふにゃふにゃなクラブ”を練習場で打ってみたんです。というのも、誰もいないコースで3球打って3球とも隣のホールに飛ぶような状態だったので、何か突拍子もないことをしなきゃと思い、使ったことのないような軟らかいクラブにしてみたんです。気持ち悪いくらいのふにゃふにゃだったんですが、実際に打ってみると気持ちいいドローが出て、ある意味イメージ通りのフック回転がかかって……“もうこれでいいんじゃない?”ってなったんですよ。そしたら、試合でも怖さなく震えずに打てるようになったんです。

つまり、今までのクラブがハードスペックだったことに気づいたんです。軟らかくしたことで自分のフィーリングが戻ってきました。今では、シャフトのしなりを感じながらポンと打ったら、自分が頑張らなくても右に出てドローするイメージ通りの球が出てくれます。しなりを生かして打つとこんなに楽なんだと実感しています」

昔はトリプルX、今はS
若いころはXXXくらいの硬さを使用して体を目いっぱい使っていたが、今はシャフトをしならせて打つスタイルに変化しフレックスは“S”に

プロはヘッドに
仕事をさせるのが上手い

解説/早川佳智

はやかわよしさと。今年の日本シニアオープンでは予選会を通過して出場。名古屋を中心に多くのアマチュアの指導を行う

9月の日本シニアオープン、予選会を突破して見事出場権を得た早川佳智プロ。そこで熟練プロたちのクラブ使いに舌を巻いたという。「どのプロもクラブさばきがうまくて、ヘッドにきっちり仕事をさせていました」と早川プロ。ヘッドが「猛烈に」動く振り方。これは「クラブを振る=手元を振る」になりがちなアマチュアとは、正反対のクラブの使い方だ。

「奥田(靖己)さんのスウィングを見させてもらったんですが、クラブの先端がとんでもなく走っていました。これはもちろんヘッドを動かす意識があるからで、ヘッドの重さ、ヘッドの位置をずっと感じているからこそなせるワザです」

プロ=ヘッドを動かす意識が強い

グリップエンドを支点としたヘッドの振り子運動を、いかに大きくするかというのがプロの思考。そこにシャフトのしなりや遠心力が加わることで、超高効率スウィングになる

アマチュア=手元を動かす意識が強い

クラブを指でつまんでぶら下げ、つまんだ部分を勢いよく左右に動かしてもヘッドはほとんど動かない。これが、手元だけを振っていて先端がまったく動いていない状態

スウィングの
原理原則に立ち返る

レッスンの常套句である、「腕を使わずに体でスウィング」とか、「フェースを返さずにインパクト」といったものは、まず特定の症状があってその対症療法であるケースが多いことを忘れてはならない。スウィングの原理原則から言えば、腕は振らなければならないし、フェースも返さなければならない。

「本当に腕を振らなかったらシャフトがしなるほどの速さは出せません。正しい腕の振り、フェースローテーションはクラブの運動量を増やすカギでもあります。横振りの意識が強いと体だけで開いて閉じる打ち方になりやすい。ひじをうまく使って縦振り要素を入れるのがコツです」

ヘッドを走らせるポイント①
腕は横ではなく縦に使う

両手のひらを向かい合わせにして腕を下げたところから、ひじを曲げて手を右肩方向に上げるのがテークバック。一度下ろして左肩方向に上げるのがフォロー。これが「縦振り」の土台

アドレスの前傾姿勢のまま、小さく「前にならえ」をしたら、腕の縦の動きは終了。あとはそのまま上半身を右に回すだけで、コンパクトだがヘッドを動かしやすいトップになる

ヘッドを走らせるポイント②
両肩をくるっと回すイメージ

トップで左肩をあごの下に持ってくるイメージで回すと、肩が縦回転するので腕(クラブ)も縦に動かしやすくなる

ヘッドを走らせるポイント③
ダウンで右肩を下げる

トップで早くボールに当てたい意識があると、右肩がボール方向(前)に出てしまうため横回転要素が強くなる。右肩を下げて回すと縦要素を維持できる

月刊ゴルフダイジェスト2025年12月号より