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【平成スウィング変遷史③】令和の時代。パワーゴルフが向かうのは力の追求か、自然体への回帰か

平成から令和と元号が変わった今、タイガー・ウッズの登場とともに幕を開けたパワーゴルフは、さまざまな新理論のもと、さらなる進化を遂げてきた。平成スウィング変遷史③は、江連忠プロコーチに、現在主流となりつつ「反力打法」や「スパイラル・スウィング」を紹介しつつ、未来への展望を語ってもらった。

最大限のパワーと再現性を追求した最新スウィング

クラブやコースが変化すれば新しいゴルフ理論が登場するのは当然のこと。ただ、新しい理論が登場すると、過去の理論を執拗に否定したり、とかく目に見えやすいアドレスやトップ、フィニッシュの形ばかりに目を奪われてしまいがちです。(江連)

しかし、いつの時代も一流選手が追求するのは「最大限のパワー」と「再現性の高さ」。新理論はそれを実現するためのもので、前者は「下半身の使い方」が、後者は「ダウンスウィングのオンプレーン」が作り出すことは、ボビー・ジョーンズの時代から変わらぬ不変の真理です。新しい理論と出合うときは、目新しさだけにとらわれるのではなく、そうした観点を大切にせねばと思います。

地面からの反力を回転力に変える【反力打法】

最近のPGAツアーでは最も主流。「ロレーナ・オチョアやポーラ・クリーマーなど非力な女子プロが飛距離を出すためにいち早く取り入れたスウィング」と江連プロ。写真はダスティン・ジョンソン

反力を使ったダスティン・ジョンソンのスウィング

さて、理論よりも大きく変わるのが時代です。レッスンの現場では感覚的な言葉のコミュニケーションが、平成に入ると映像によるスウィング解析になり、今では弾道測定器による数値に変わっています。それは時代に応じた変化ですが、一方で数値に縛られて個性が喪失し、スウィングの優雅さが見失われつつと感じるのは私だけでしょうか。

地面の反発力を、らせん状に上半身に伝える「スパイラル・スウィング」byピーター・コーウェン

「ワインのコルクを抜くように」と例えられるように、下半身で生み出す力を上半身に徐々に伝える。上の写真はヘンリク・ステンソン。右ひざをテークバックで伸ばし、ダウンスウィングでいったん沈ませ、また伸ばしている。

スパイラル・スウィングで飛ばすベルギーの星。トーマス・ピータースのスウィング

レッドバターの最新理論「進化したAスウィング」

左手をストロング、右手ウィークの「お祈りグリップ」。アウトに引いてインに下ろすためのグリップ。写真のリディア・コーのほか、ミシェル・ウィーも実践

リディア・コーの「Aスウィング」

最近主流のスウィングは、クラブと体にストレスを感じる傾向にある気がしてなりません。それが窮屈な印象であったり、ときに一流選手の故障につながっています。

いつの時代も、最先端の道具を使いこなすのは至上命題です。そういう意味で、令和の時代には再び「自然体の動き」が注目される気がします。体を目いっぱい使うのではなく、より効率よく使うとでも言いましょうか。

タイガーのマスターズでの復活優勝は、そんな時代の幕開けだと感じました。少なくともタイガーにはかつての優雅さが戻っていました。これからのスウィング論を構築する自分も含め、令和の技術に注目していきましょう。

週刊GD2019年5月7日・14日合併号より