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【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.29 バンカーショットの距離感は “出さない練習” で掴む!? 

アプローチでシャフトが真っすぐ見えるように構えるテクニックを伝授された谷繁。次なる舞台はバンカーだ。プロ野球の現場で数々のピンチをくぐり抜けてきた男が、改めてピンチ脱出術を学ぶ。

PHOTO/Tadashi Anezaki

谷繁元信 1970年広島県生まれ。88年ドラフト1位で横浜大洋ホエールズ入団。02年中日ドラゴンズに移籍。14、15年はプレーイングマネジャー、16年は専任監督。通算3021試合出場は日本記録、捕手として2963試合出場は世界記録。ベストスコア67
青木翔 1983年福岡県生まれ。2017年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長

>>前回のお話はこちら

  • 谷繁が苦手と断言するアプローチ。前回のレッスンで、ウェッジのバウンスを生かすダウンブローの打ち方、吊り打ちなど、グリーン周りのお助けスキルを伝授され、谷繁のワザの引き出しがさらに増加中。今回のレッスンもグリーン周りだ。 PHOTO/Tadashi Anezaki 谷繁元信 1970年広島県生まれ。88年ドラフト1位で横浜大洋ホエールズ入団。02年中日ドラゴンズに移籍。14、1……

バンカーから
出さない練習をする

青木 今回はバンカーレッスンです。

谷繁 アプローチよりは得意です。

青木 バンカーは打ち込めますから、谷繁さんはお得意だとは思います。実際に打ってもらったら、悪くはなかったです。でも、それは谷繁さんが「80台で回れればいいか」「70台だったらいいな」というレベルのゴルファーだったら、です。

谷繁 競技ゴルファーで、3日間75を並べるためにはこれではダメだと。

青木 その通りです。前も言いましたが、谷繁さんには僕がプロに教えていることを教えます。もうプロゴルファーだと思って話していますから。

谷繁 気が引き締まります。

青木 プロゴルファーはあえてバンカーに打つことがあります。変なラフよりバンカーのほうがいい場合があるからです。ただし、バンカーからうまく出せる技術が大前提です。

谷繁 その後、何球か打ってみましたが、出せることは出せるんだけど球が安定しない。


青木 アプローチのときと同じ現象が起きていました。おなじみのすくい打ち。ロフトが寝てバウンスを作っている状態なので、ちょっと潜ると球がピューンと出そうだなと思いました。

谷繁 ピューンと出ちゃうこと、けっこうあります。あれ、恐怖です。

青木 でしょう。だから、まず、フェースを思いっきり開いて打ってもらいました。

谷繁 限界まで開く感じで……。

青木 すると球が飛ばず、バンカーのアゴに当たって戻されましたね。

谷繁 ダメじゃん(笑)。

青木 それでいいんです。

谷繁 えっ!?

青木 バンカーから出さない練習、これ大切なんです。フェースを思い切り開いて打って、球のスピードが出ないようにして打つ。それから徐々に閉じて「これぐらい開くと球はこれぐらい」「これだけ閉じるとこれぐらい」という感覚を体に染み込ませます。

谷繁 すると「これぐらいで出る・出ない」がわかってきますね。

青木 そうなんです。バンカーの距離感ってこうやって作っていくんです。

谷繁 ライによっても違うから、バンカーの距離感作りは難しそう。練習するしかないですね。

青木 谷繁さんは左足上がりのライは嫌いじゃなかったですよね。

谷繁 はい、平らだったり左足下がりのほうがあんまり……。

青木 ならばと、左足下がりのライで打ってもらいました。やや、ハンドレイトでフェースを開いて……。

谷繁 すると、またまた柔らかい球でフワッとうまく出せた。

青木 左足下がりだと、スウィングしていると左加重になってハンドファーストに入りやすくなる。これって球が飛ぶ要素ですよね。だから、打つ前にハンドレイトでフェースを開くという飛ばない要素を入れたんです。

谷繁 こういうシチュエーションでピューンと飛ばしちゃったことがあるけど、もともと飛びやすいライなんだね。

青木 こういうときに、バンカーから出さない練習が効いてくるでしょう。

谷繁 フワッとボールを出す感じ、気持ちいい。内野手のトスみたいな……。

青木 打った後、ちょっとしてからボールが出るみたいなね。

谷繁 「どんどん飛ばなくなってきたー」って大喜びしてしまいました。

青木 (笑)。

谷繁 バンカーでフェースを開いて打つというテクニック、自分でもわかってはいたんだけど、実戦で使うのはなかなか難しかったんです。どうしても右に行くのが怖くなって、いつも通りスクエアに構えて打ち、結局、手元の強弱で距離を調整していたんです。

青木 それでピューンが出てしまうんですよね。

谷繁 競技でそういうのが出ると、ますます怖くなって、また手に頼るという悪いループに陥ってしまっていました。でも、そうじゃなくて、あくまでクラブは振り抜く。距離感の調整はフェースの開閉でする、と。

青木 また谷繁ノートに追加ですね。

谷繁 ですね。で……あとは、どのタイミングでどの引き出しを開けるか。野球ではそれができていたんだけどなあ。

青木 しっかり練習して、あとは自分がやることに自信を持ってください。

谷繁 それ、昔、俺が権藤博さんに言われたことだよ……。

フェースの開閉でバンカーの距離感を作っていくようアドバイスされた谷繁。練習あるのみ

週刊ゴルフダイジェスト2025年4月15日号より

CS放送のGAORAでは「谷繁元信×青木翔の勝つゴルフノート」がオンエア中