【南出仁寛の千日回峰行】Vol.3 スウィングの「トルク」が小さい理由とは?

シニア入りを機にツアープロ転身を目指す南出仁寛プロの修行の旅。最新機器「スウィングカタリスト」を使用して足裏にかかる圧力を計測したところ、左への踏み込み過ぎが明らかになったが、そこにはさらなる課題があった。
PHOTO/Hiroyuki Tanaka THANKS/フォクシーゴルフ


ゴルフ修行僧/南出仁寛
みなみで・きみひろ。78年生まれ、大阪府出身。06年にプロ転向。ドラコン日本タイトル15冠。世界大会は11度出場し、最高成績は10位(日本人最上位)。シニアツアー出場資格年齢まであと4年
今月の「師僧」/渡邊康
わたなべ・やすし。「フォクシーゴルフ」コーチ。パターレッスンが得意で「パターモンスター」の異名で知られる。ツアー出場の経験も生かしつつ、最新機材を使って多くのゴルファーにレッスンを提供している

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- シニア入りを機にツアープロ転身を目指す南出仁寛プロの修行の旅。最新機器「スウィングカタリスト」を使用して、足裏にかかる圧力を計測。すると左への踏み込み過ぎが明らかになったが、そこにはさらなる課題があった。 PHOTO/Hiroyuki Tanaka THANKS/フォクシーゴルフ ゴルフ修行僧/南出仁寛 みなみで・きみひろ。78年生まれ……
“回転力”を強くするには?
南出 ちょっと気になったんですが、データ画面の「トルク」のグラフは何を表しているんですか?
渡邊 両足で作り出す回転方向のエネルギーの大きさですね。この数値が大きくなるほど、足裏に強く力をかけて回転しているということで、その分、ヘッドに伝わるエネルギーも大きくなります。
南出 ボクの場合はどうなんですか? 思ったほどグラフが大きく振れてないような気がするんですが……。
渡邊 実はそうなんです。南出さんのパワーからすると、少しトルクが小さいです。これはどういうことかというと、上半身の回転と一緒に下半身も回ってしまっている状態だと思われます。スウィングは回転運動なので、上半身は当然として、下半身も速く回すのがいいと思っている人が多いんですが、下半身のほうは粘らせて回転を我慢するほうが、上半身の回転力が強くなるんです。
南出 ちょっと難しくなってきましたね。
渡邊 たとえば、クラブじゃなくて太いロープをできるだけ速く連続で振ろうとしたら、下半身はむしろ回らないようにグッと耐えますよね。この「耐える」力が、データではトルクの大きさとして計測されるわけです。
南出 ああ、なるほど。確かに、下半身もぐるぐる回したら、速くは回れても「強く」は回れんわね。
渡邊 ゴミ袋を足元に敷いて、それを両足で左右に広げながらスウィングするイメージだと、下半身を強く踏ん張れると思います。
南出「回転を速くすれば飛ぶわけじゃないの!?」
渡邊「下半身が一緒に回っちゃうとダメなんです」


ゴミ袋を両足で
左右に引っ張るイメージ
ビニールの袋を足元に敷き、それを両足で左右に広げるように力をかける。その状態をできるだけ維持しながらスウィングする
練習場にゴミ袋を持っていって、実際に足元に敷いてクラブを振ると、下半身の動き(力の入れ方)が意識しやすくなる。何度か素振りをしたら、ゴミ袋を外して打つ

Point
下半身は上体の回転に「あらがう」のが正解

下半身も一緒に回してしまうと、思ったほど速く回れない

Drill
太いロープを左右に連続で振ってみる

太いロープのような「ぐにゃぐにゃ」のものを、できるだけ速く連続で左右に振ると、太ももから足裏にかけて強い力がかかるのがわかる。スウィング中もこの部分に力を入れることで、クラブをより速く(強く)振れる
下半身を安定させるとトルク量が増加した
グラフで示されるトルク(torque)の数値が大きくなるほど、強い回転力を生み出しているということ。ゴミ袋ドリル後は、南出プロのトルクも増大した

月刊ゴルフダイジェスト2025年3月号より