【ゴルフの急所】Vol.48 クラブを買い替えたら調子が悪くなった…寺西流の対処法は?

30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部

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- 30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。 PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/美奈木GC https://my-golfdigest……
ドライバーを買い換えたら、調子が悪くなってしまいました。どうにか元のスウィングに戻そうと練習しているのですが、なかなか元に戻りません。こういうときにはどうしたらいいのでしょう?(大山達也さん・42歳・HC21)
まず知ってもらいたいのは、どんなに努力をしても、昔の自分には戻れないということです。
人間は、一度取り入れた情報や感覚を完全に消し去ることができません。歳を重ねれば誰もが変化していくように、新しいクラブ、技術、体の動きを取り入れ、記憶が増えれば、人は変化して、決して元には戻らないのです。
ですから、調子を崩したときにも、元のスウィングに戻ろうとするのではなく、変化した自分と向き合い、新しい自分でやっていく道を探る。そういう思考に切り替えることが大切だと思います。
そのうえで、不調から脱出するためには、自分の得意なクラブや、スウィング作りの基準としているクラブを打ち込むとよいでしょう。いくら調子が悪くても、好きな番手であれば、ある程度は打てるはず。そうして、今の自分にとってストレスのないリズム、タイミング、動きを探り、新しい自分を見つけるのです。
次に、クラブを替えて調子を崩したということなので、クラブを替えるときの注意点についてお話ししましょう。
多くの人は、クラブのいいところだけを見て、悪いところを見ようとしません。でも、たとえ前より飛距離が出たとしても、思ったよりも曲がるクラブ、予想もしないミスが出るクラブは実戦で使えないわけです。ですから、クラブを替えるときには、そのクラブのミスが自分の使える範囲なのか、許せる範囲なのかをチェックする必要があるのです。
具体的に言うと、まずは自分が気持ちよく感じるリズム、タイミングで球を打ち、どんな球が出るかを観察します。このとき、球が曲がったからといって、真っすぐ飛ばそうとしたり、スウィングを変えたりしてはいけません。クラブに合わせるのではなく、あくまで自分のスウィングをしたときに、どんな球が出るのかを見る。それだけでも、そのクラブが今の自分に合っているかどうかを判断できるはずです。
また、自分なりの方法で構わないので、思い切ってフック、スライス、高い球、低い球を打ってみるのもよいでしょう。そうすれば、どんな球が打ちやすく、どんな球が打ちにくいのか。どんなときにどんなミスが出るのか、自分にとって扱いやすいクラブなのか否かがはっきりするでしょう。
いずれにしても、大事なのは、今の自分のスウィングをしたときに、前のクラブよりいい結果が出ることです。クラブを替えるのは、そういうクラブに出合ったときだけにする。そうすれば、クラブを替えたことで調子を崩すことはなくなると思いますよ。
ストレスのないスウィングで振ってみよう

クラブを替えるときには、自分が気持ちよく感じるリズム、タイミングで目を閉じて振ってみる。そのスウィングで球を打ち、思うようにコントロールできるクラブなら替える価値があるが、調整しないと打てないクラブなら合わないと判断する
調子が悪くなったら、得意なクラブで練習
調子を崩したときには、自分の得意なクラブや、スウィングの基準にしているクラブで練習する。ちなみに、寺西の場合は、9番アイアンを打ち込むことで、不調から脱出するという

新しい自分を受け入れる

「人は常に変化するもの、元には戻れないものです。不調から脱出したとき、自分では『元に戻った』と感じるかもしれません。でも、それは不調を乗り越えて手に入れた新しい自分なのです。元に戻ることは叶わない。ならば、元に戻ることに時間を使うのではなく、新しい自分でやっていくことに力を注ぐ。そういう姿勢がゴルフの上達につながると、ボクは思います」
月刊ゴルフダイジェスト2025年3月号より