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Dr.クォンの反力打法 Vol.34 飛ばしたいならバックスウィングは速め? 遅め?

今週の通勤GDは「Dr.クォンの反力打法」。第38話のテーマは「バックスウィングのスピード」。レッスンでは「ゆっくり上げるように」と教わることも多いが、クォン教授の見解は……?

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる

【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

吉田 また読者から質問が来ています。「バックスウィングは速く上げたほうが飛ぶという人もいれば、ゆっくり上げたほうがいいという人もいます。いったいどちらを信じればいいのでしょうか?」

クォン いい質問だね。ヒロはどう思う。

吉田 大事なのは、インパクトでヘッドスピードが最大になることですから、バックスウィングは力まずゆっくり上げたほうがいいと思います。

クォン 日本では、ゆっくり上げるように教える人が多いようだね。

吉田 え? ゆっくりは良くないんですか。

クォン ゆっくりというアドバイスは、ダウンスウィングを腕の力に頼って、手から下ろしてしまうような人にはいいと思う。

吉田 いわゆる「打ち急ぎ」ですね。

クォン でも、ヘッドスピードを上げて飛ばしたいなら、基本的にはバックスウィングは速いほうがいい。

吉田 なぜですか?


クォン 以前、バックスウィングはカウンター動作だと言ったね。

吉田 ええ、上にジャンプするとき、いったん下に沈み込んでから跳ぶ。この動きたい方向と逆向きの動きがカウンター(反動)動作でしたね。

クォン うむ。ではより高く跳びたいときはどうする。

吉田 沈み込む動きをより大きく、速くします。

クォン そう、大きく、速く。これが肝心だ。

吉田 つまり、ゴルフのバックスウィングも、大きく、速く上げることが大事だと。

クォン 大きくても、スピードが遅くてはダメだし、またスピードが速くても、小さすぎては意味がない。下の図を見てほしい。

吉田 トップのときの回転力の大きさを示していますね。

クォン A、B、Cは米シニアツアーのプレーヤー3人のトップだが、それぞれトップの大きさと速さが異なっている。最も回転力が小さいCは、トップは一番大きいが、バックスウィングのスピード(アドレスからトップまでの時間)は最も遅く、0.83秒。一方Bは、バックスウィングが0.53秒と速いが、トップが小さくなっている。回転力が最も大きいAは、トップの大きさが十分で、かつトップまでの時間も0.74秒に収まっている。

速く、かつ大きく上げることが回転力を上げるコツ

Cはトップが大きいが、バックスウィングのスピードは最も遅い。そのため、回転力が小さくなっている。またBは、バックスウィングのスピードは速いものの、トップが小さい。トップの大きさが十分で、かつバックスウィングのスピードも速いAが最も回転力が大きくなっている

吉田 なるほど。助走距離を長くするという意味ではトップは大きいほうがいいけど、どうしてもスピードは遅くなる。そうするとせっかくの反動動作が生かせないから、ダウンスウィングのスピードも遅くなってしまうんですね。

Vol.35へ続く | 反力打法TOP

Dr. クォン&吉田洋一郎
『驚異の反力打法』

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