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【ヘッドデータは嘘つかない】つかまりすぎず、強い弾道で飛ばせる! ミズノ「JPX 923 ホットメタル」アイアン

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はミズノの『JPX 923 ホットメタル』アイアンを取り上げる。

ミズノ製だが米国モデル風の形状

早速、いつもどおり7番アイアンのクラブ(シャフトは日本シャフト『NSプロ 950GH neo(フレックスS)』仕様)やヘッドを試打・計測していこう。なお、すべて実際に測定した数値になる。クラブ長さが36.75インチとやや短めだが、クラブ重量は420.1gとやや重めなので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが270万g・㎠とやや大きくなっている。この数値だと本来はドライバーのヘッドスピードが45m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすくい設計と言えるだろう。

細部を見ていこう。ヘッドは国産メーカーのミズノだが、逆輸入モデルの『JPX』シリーズだけあって、全体としては米国モデル風の形状で、フェース長が長め、かつグースネックで、やさしく打ちやすそうなイメージが出ている。また、フェースのヒール側の高さに比べてトウ側の高さがやや低いので、アドレスすると実際のライ角(61.2度)よりもフラットに見え、球をつかまえ過ぎないイメージが出ている。

Point1 クラブ長さが36.75インチとやや短い
Point2 クラブ重量が420.1gでやや重い
Point3 クラブ全体の慣性モーメントは270万g・cm2とやや大きい

弾き感がよく、低スピンで飛ぶ

実際に試打したところ、前モデル『JPX 921 ホットメタル(以下、921)』と同様に、米国風フェースでソール幅も広く、フェースプログレッション(FP値)が2.3ミリと強めのグースネックで、全体に打ちやすそうなイメージが出ている。試打シャフトの『NSプロ 950GH neo』は、適度なしっかり感があり、ダウンブローでターフを取るようなスウィングをしても耐えてくれる。またクラブ長さがやや短めの36.75インチの設定なのも良く、球をミートしやすい。

『921』同様に、ヘッドの重心距離が非常に長く(紹介モデルは43.0ミリ)、同時にヘッドのネック軸周りの慣性モーメントも6810g・㎠と大きいので、ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかで、結果、球が左につかまり過ぎず、ストレート~フェード系弾道が打ちやすいヘッドだ。ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが大きいことで、アベレージゴルファーに多いフェースのトウ寄り打点のショットに対しても、ヘッドが当たり負けしにくくなっているのも特徴だ。

同社がこだわっている“マイルドスチール(S25CM)”の軟鉄鍛造と違って、ニッケル・クロムモリブデン鋼のため、フェース面が硬く打感も硬いので、インパクト音が高い。逆に、その素材のおかげで球の弾き感はいいので、バックスピンも少なめの弾道で飛んでいく。今回の『JPX』シリーズは『ホットメタル』以外にも4モデル発売されていて、好みのヘッドの顔、打感、打音、弾道などを試打しながら選ぶといいだろう。

左から5I(22度)、7I(28.5度)、9I(37.5度)。国産アイアンの雄・ミズノ製品だが、米国モデルのようにフェース長が長めで、重心距離が長く、ストレート~フェード系弾道が打ちやすい

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

ミズノ

JPX 923 ホットメタル アイアン

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2022年10月4日号より