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グースネックとストレートネック。あなたに合うウェッジ形状は?

ウェッジにはロフトやバウンス、ソール形状など、さまざまな要素があるが、もうひとつ重要なのが「ネック形状」。グースネックとストレートネック、それぞれどんな特徴があるのか。どんな人に合うのか。ウェッジ選びの基本をおさらい!

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/大宮GC

解説・試打/堀越良和プロ

小誌試打企画でお馴染み、キング・オブ・試打。ドライバーからパターまであらゆるクラブを試打するギアのスペシャリスト。『ギア選びのウソホント』を連載中

日本の芝には
グースネックが合う

ウェッジのネック形状は、グースネック、セミグース、ストレートネックの3タイプに分けられる。FP値(フェースプログレッション=シャフト中心線とリーディングエッジの間の距離)が大きいほどストレートネック、小さいほどグースになる。このネックの違いには、どんな理由や特徴があるのか?

「さまざまな要素はありますが、もっとも大きいのは芝質の違いです。海外ではベント、バミューダ、ティフトンなどの洋芝が使われていますが、葉が柔らかく細いため、ボールが沈みやすいのです。ペタペタのライなんて呼ばれることもあるくらいです。一方、日本の芝はコーライ芝や野芝が主流です。葉が太く硬いのが特徴で、ボールが浮きやすいです。この芝質の違いがネック形状の違いに表れているのです。ボールが沈みやすい洋芝は、そもそも打つのが難しい状況といえます。それを打つためには、刃(リーディングエッジ)をクリーンにボールにヒットさせなくてはなりません。その結果、ストレートネックになるのです。刃から先にヒットさせやすいので、ボールを拾いやすい形状でもあります」

一方グースは、刃が遅れてボールにヒットすることになる。そのため「ストレートネックよりボールをつかまえやすい、というのが特徴です。なぜかというと、インパクトの時点でシャフトは刃より前に進んでいるので、フェース面がやや閉じ気味にヒットすることになります。つまり“つかまりがいい”ということです。グースはボールを包み込むような安心感もあり、構えやすいと感じるゴルファーも多いはずです。また、刃から先に当たりづらいのでザックリもしづらくなります。グースネックは刃より先にソールが当たりやすく(自然にバウンスが利く)、ボールが浮きやすい日本の芝には最適なんです」

では、刃の形状については、どんな特徴があるのか?

「リーディングエッジは、直線的なものと丸みのあるものと2タイプあります。ストレートなものはアイアンに近いですから、スクエアに構えやすく、ラインを出しやすくなります。一方、丸みがあるものはスクエアにも使えますし、フェースを開いても違和感がないのがメリットといえます」

【グースネック】
ボールが浮く和芝に合う。
ボールをつかまえやすい

シャフトの中心線より後ろに刃があるため、刃が遅れてヒットする。その結果、フェースがやや閉じた状態でインパクトしやすく、ボールをつかまえやすいのが特徴だ。ザックリやダフリを抑えられるため、ローバウンス(より刺さりやすい)よりハイバウンスとの相性がいい

【セミグース】
和芝、洋芝の両方に対応

セミオートマタイプ

FP値で3~3.5ミリくらい(ホーゼルの直径は7ミリ)が、セミグースの基準といわれる。ストレートネックほど、刃が出ていないのが特徴で、和芝、洋芝どちらにも対応できる、いいとこ取りの形状といえる。日本にはベント芝(洋芝)を使ったコースも少なくなく、オールラウンドに使える

【ストレートネック】
ボールが沈む洋芝に合う
ボールが拾いやすい

シャフトの中心線より前に刃があるため、ボールを拾いやすいのが特徴だ。ボールが沈みやすい洋芝を想定した形状といえる。ネックが直線的なため、フェースの開閉がしやすいのも大きい。そのためバウンスやグラインドを多彩にアレンジできる

フェースを開くことが多い人は
ストレートネックが合う

グース、セミグース、ストレートネックは、それぞれどんなゴルファーに合うのか?

「グースは日本の芝に合うだけでなく、やさしいクラブでもあるんです。たとえば、花道でダフる人でもグースにすれば、そのミスが抑えられる可能性があります。グースは刃より先にバウンスを接地させやすいからです。これはハンドファーストに構えたい人にも合います。ヘッドの入り方がアバウトでもソールが滑ってくれますからヘッドの抜けもよくなります。実はグースはミスをカバーしてくれる形状でもあるんです」

ではストレートネックが合うゴルファーはどんなタイプなのか?

「ストレートネックは刃から当てたい人に合います。洋芝のようにボールが沈んだ状況ほど、クリーンにヒットしなくてはならないのでボールが拾いやすい=刃が当たりやすいストレートネックが合うわけです。そしてボールが拾いやすいということは上げやすいということでもあります。P・ミケルソンのようなロブショットを打ちたいならストレートネックのほうが簡単です。反面、刺さりやすいのでヘッドの入射角が不安定な人には不向きです。もうひとつが、ストレートネックはフェースを開きやすいということです。フェースを開いてもネックが邪魔にならないのです。また刃の丸みもフェースの開きやすさに影響します」

堀越プロの分析をまとめると、グースになるほど、バウンスが当たりやすいのでダフリやトップに強くなる。つまりウェッジでミスが多い、あるいはバンカーが苦手な人に合うのだ。一方ストレートネックはフェースを開きやすく、刃からヒットできるので、さまざまなワザが使える。出球の高低やスピンなどをコントロールしたい人に向く。

セミグースも近年増えてきた形状だが、「セミグースはグースとストレートネックのいいとこ取りです。いわば“セミオートマ”といったイメージです。フェースの開閉も使えるし、ミスに対する寛容性もありつつ操作性も高い。幅広いゴルファーに合うモデルです」

【グースネック代表
フォーティーン「TK-40フォージド」

バウンスが先に当たるのでダフリやザックリなどのミスをカバーしてくれます。バンカーでもフェースを開かず簡単に脱出できます。グースはお助けウェッジに使われる形状でもあり、やさしいですから、そのままスクエアに打つだけでいい。刃が丸いタイプなら開いて使うことも可能

こんな人に!
●ザックリのミスが多い
●バンカーが苦手

【セミグース代表】
タイトリスト「ボーケイ フォージド」

セミグースは和芝、洋芝の両方に対応できますし、ミスの寛容性もあります。さらにフェースの開閉も使えるので、幅広いゴルファーに合います。たまにミスもあるけど、フェースを開いてロブが打ちたいなど、ボールコントロールを習得したい人にはおすすめです

こんな人に!
●グースが強すぎると違和感がある
●フェースを開いても使いたい

【ストレートネック代表】
タイトリスト「ボーケイSM8」

「フェースを開くことでボールを上げたり、スピンで止めたりといったワザを使いたいなら出っ刃が合います。ボールを拾いやすい反面、刃が刺さりやすいため、インパクトが不安定な人には難しい可能性も。出っ刃をハンドファーストに構えて打ち込むのは厳禁です」

こんな人に!
●フェースを開いて使いたい
●球の高さやスピンを操りたい

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月23日号より