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【ゴルフ初物語】Vol.59 チタンを超えた!? キャスコ独自の新素材「スーパーハイテン」登場

ドライバーのヘッド素材はパーシモンからメタル、チタン、カーボンへと進化を続けてきたが、1994年には、キャスコ独自の新素材「スーパーハイテン」を採用したドライバーが登場。いったいどんな素材なの?

チタンよりも高い強度、弾性率を持つ

1959年に手袋製造の「鎌田利商店」として創業したキャスコ。5年後にはゴルフグローブを主軸にスポーツグローブに特化。80年にキャディバッグ、82年にはゴルフボールの製造を開始し、92年からはゴルフクラブの自社一貫生産を開始した。

そして94年に発売したのが「エルシド・スプレモ スーパーハイテンTS303t」。その最大の特徴は、チタンをしのぐという新素材「スーパーハイテン」の採用だった。キャスコが開発した「スーパーハイテン」とは「超高張力鋼」のことで、元来、航空宇宙用として開発され、ジェット機の車輪ステーやロケットエンジンの部材などに使用され、硬度、強度、粘りが極めて高いのが特徴だ。

当時の広告によると、この金属を「高品質なクラブヘッドに仕上げるために、不純物を除去し、金属組織の細分化を図る真空溶解法で溶製。さらに合金元素の均質化、強度と反発性のバランスを図る真空熱処理を施している」、そして「これらの工程はすべて、高技術を背景としたキャスコの自社生産システムで行われ、他の追随を許さない新種のドライバー」が生まれたという。

スーパーハイテンはチタンと比べて約2倍の強度と硬度を持つため、クラブヘッドにしたときに反発性能が5%向上。その反発力の高さから、球離れが早く、スピン量はチタンよりも約10%減少。ボールの吹き上がりを防ぎ、曲がらない強い弾道を生むという。そのヘッドに、完全自社設計・生産の高密度・高精度オリジナルカーボンシャフトを装着。45インチと当時としては長尺だったが、手元から先端までのねじれを均一化することでヘッドのブレを最小限に抑えることに成功。すべてを自社生産するキャスコだからこそ成しえた新ドライバーの誕生だった。

「スーパーハイテン」は1999年発売の「パワートルネードU」に採用され大ヒット。10代目となる最新の「UFO byパワートルネード」にも使用されている

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月26日号より