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【50代からのギア選び・ボール編】<後編>試打データが証明! ウレタンとアイオノマー、止まり方ってこんなに違うんだ

ゴルフ仲間からもらったり、コンペ賞品など気が付くと手元にボールが溜まってきた。それをその日の気分でラウンドで使用する……これではスコアは良くならないとプロは言う。ボールはどう選ぶべきか?その後編をお届け!

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/クレアゴルフフィールド

解説/堀越良和 

ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる、“キング・オブ・試打”。クレアゴルフフィールド所属

解説/向井伸吾

アクシネットジャパン、タイトリスト ゴルフボールフィッティングマネージャー

>>前編はこちら

「“アイオノマー系”と“ウレタン系”
どちらを選ぶか、それが問題です」(向井氏)

後編では、タイトリストのボールフィッティングマネージャーの向井伸吾氏にゴルフボールについて、詳しく教えてもらった。

「ボールは大きく分けて2種類、カバー素材が合成樹脂のアイオノマー系と同じくウレタン系のボールが存在します。 

アイオノマー系のボールは、硬い素材のアイオノマーと中身が軟らかい合成ゴムのコア部分で構成され、シンプルな構造になっており、一般的に2ピースボールと言われます。まれに、アイオノマー素材のカバーに複数構造のコアを採用したボールもありますが、今回は割愛します。 

このタイプのボールの最大のポイントは構造がシンプルなため、価格がリーズナブルである点です。加えて、飛距離性能に特化していますが、ゴルフボールが飛距離を生むメカニズムに“硬さ”と“軟らかさ”の両立は必要不可欠で、初速と反発との関係性が深いです。このタイプのボールはゴム素材のコア部分が軟らかく反発性が高い反面たわみやすくなりますが、カバーを硬くすることによってつぶれ過ぎを防ぎ、初速が出やすい仕組みになります。 

難点は、スピンが入りづらい点です。カバーが硬いアイオノマーの場合、ボールの表面がウェッジやアイアンの溝に食い込みにくく、同時に摩擦が起きづらくなってしまうため、スピン性能との相性は悪いです」 


アイオノマー系

外剛内柔型。カバーとコアで作られ、シンプルな構造で安価なタイプ。軟らかいコア部分を硬いアイオノマー素材カバーが覆うことで、中身のコア部分の反発性を最大限生かし、同時につぶれ過ぎをアイオノマーが抑制することで、高初速、高反発を実現する。表面が硬いため、耐久性能にも優れていて、コストパフォーマンスが高い


【代表モデル】タイトリスト トゥルーフィール
構造/2ピース カバー素材/アイオノマー 1ダース価格/1500~3000円ほど 1球当たり価格/120~250円

では、ウレタン系のボールはどういった特徴があるのか?

「ウレタン系のボールは、カバー素材がアイオノマーに比べて軟らかく、中身のコアが複数構造になっています。一般的には3層構造の3ピースから5ピースまで存在します。 

この複数のコアは、基本的に外側のコアを硬くして、内側にいくほどコアは軟らかくなりますが、カバーに一番近い部分の層はゴム素材ではなく、硬いアイオノマーを採用しているケースがほとんどです。内側のコアを軟らかくすることで、バネのような動きが反発を生み、カバー直下のアイオノマーが硬いため、初速が出やすくなる仕組みです。 

何より、一番の特徴は軟らかいウレタンカバーがスピンを生み出しやすい点です。ウレタンの場合、軟らかい表面がフェース面の溝の奥まで食い込みますので、スピン量が確保できます。 

つまり、ボール自体の硬さが確保できているので、飛距離性能もあり、スピンも入りやすく、相反する2つの性能を両立しています。プロがウレタン系を使うのは、その性能の高さ故です。 性能が高い反面、ウィークポイントとして、アイオノマー系と比較すると、高価である点は否めません。さらに耐久性についてもウレタン系はキズがつきやすいので、この点もコストがかかる要因になります」

ウレタン系

ウレタン特有の表面の軟らかさが摩擦の最大化によるスピンを生み出し、ボールの硬さが飛距離性能に結び付くため、飛ぶし、スピンが入るのでグリーンで止まりやすい。高機能、構造の複雑化に伴い、高価。構造は主に3ピースから5ピースで作られていて、コアの中央部は軟らかく、インナーコアが軟らかいことでドライバーのスピンが減りやすい

【代表モデル】タイトリスト プロV1
構造/3ピース カバー素材/ウレタン 1ダース価格/6000~8000円ほど 1球当たり価格/500~700円

「ゴルフボールの寿命は5年です」

「コンペの景品などで貰い、数年放置されているボールが家の片隅に眠っていることもあると思いますが、ボールの寿命は5 年です。未使用でも、時間の経過とともに劣化が進みます。放置されている間に湿気の水分をカバーやコアが含んでしまい、著しく性能が落ちてしまいます」(向井氏)

「スコアにこだわるなら絶対ウレタン系を選ぼう!
コスパを求めるならまずはアイオノマー系」(堀越プロ) 

実際に、アイオノマー系とウレタン系でどのような性能の違いがあるのか、堀越プロに打ち比べてもらった。なお、今回はドライバー、7番アイアン、ウェッジで試打した。 

まず、ドライバーから。

「ドライバーに関しては、データ上どれを見ても大きな差は生まれませんでした。多少、アイオノマー系がキャリーが出ましたが、誤差の範囲と言えるでしょう」 

続いて、7番アイアン。

「7番アイアンでは、スピン量と落下角で差が出ました。ウレタン系はスピン量が確保されていたのに対して、アイオノマー系は5000回転まで到達しませんでした。同時に、落下角もウレタン系の46度に対して、アイオノマー系は43度弱。7番なら、落下角は45度は欲しいところ。ほぼ同等の初速で、キャリー自体はアイオノマー系が飛びましたが、スピンと落下角といった実用的な観点では、ウレタン系に分がありました」 

続いて、ウェッジはどうだったか。

「明らかにスピン量で大きな差が生まれました。実際に、2000回転以上の差が開きましたが、アプローチで、2000回転だとキャリーは同等でしたが、ランが多く出る分トータルの飛距離でおよそ2メートルの差が出ました。この2メートルは次のストロークのことを考えると、大きいです。もし、アイオノマー系のボールで揃えたい場合は、ランが多めに出ることはしっかり理解しておいたほうがいいですね」 

堀越プロに今回の試打について、まとめてもらった。

「ドライバーでの差は感じませんでしたが、7番アイアンと、ウェッジでの差はありました。改めて、ウレタン系のほうがスコア改善の観点では、止まりやすさがあり、実用的でした。 

しかし、今回初めてボールを揃える方には、現実的にコストの問題も無視できないと思います。まず、ボールを揃えるに当たり、ウレタン系の1ダース7000円前後の価格を躊躇してしまう場合は、アイオノマー系のボールでも十分です。今回の試打で分かった傾向を理解しておけば、バラバラのボールでラウンドするよりはるかに良いです。今後、スコアへのこだわりが強くなったら、ウレタン系に移行すればよいでしょう。 

ウレタン系で揃えようと思った人は、トップした際やカート道に接触した際の耐久性に欠点があるので注意してください」

ドライバー

各データ、大きな差は生まれなかった

各データで大きな差は生まれなかったが、スピン量が300回転ほどアイオノマー系のボールのほうが多く、落下角が30度を超えた。打感に関しても、明らかな差はなかったが、「強いて言うなら、アイオノマー系のほうが少しだけ軽く軟らかいですね。ヘッドスピードが遅い人はウレタン系のほうがしっかり感じる可能性はあります」(堀越プロ・以下同)

7番アイアン

スピン量と落下角で違いが生まれた

スピン量で約900回転、落下角で3度ほどデータの差が生まれた。「900回転の差は落下角と直結する話で、ウレタン系のほうがグリーンで止まりやすいのは明らかですね。アイオノマー系が5000回転に満たないのはやはり物足りなさを感じます。打感はアイオノマー系のほうが少し弾くような感触ですが、特段気になるレベルではないです」

ウェッジ

データ、打感、フィーリング、ウレタン系に軍配

「一番びっくりしたのが打感と打ち出しです。アイオノマー系は明らかに弾く感触で高く上がりました。これらのボールが混在すると、距離感やフィーリングに狂いが出ないほうがおかしいです。必ず揃えるべき理由を再確認しました。スピン量もウレタンに分があるのは、打ってみて明らかで、アイオノマー系のほうが2メートル多くランが出ました」

【パターも打ち比べた】
「アイオノマー系は打感が軟らかく、
ウレタン系はしっかり手に感触が残ります」

「ウェッジの後に実施したのですが、アイオノマー系が意外と軟らかい打感で驚きました。加えて、軽さも感じました。それに比べて、ウレタン系はしっかり手に残る感覚がありました。ウレタン系にも軟らかい感触はあるので、それぞれのボールで打ち比べるのがおすすめです」

「明らかにショートゲームで大きな差がありました」

「強いエネルギーでショットするドライバーでは両ボールの大きな差はなかったですが、7番アイアンとウェッジでの差は大きかったです。ショートゲームのスコアへの影響度は今さら言うまでもないですが、ウェッジの試打で出た約2メートルの差が次に控えるストロークに影響してきますし、スコアが左右される理由です」

週刊ゴルフダイジェスト2026年6月9日号より