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イギリスの市営コースが財政難で困窮。救いの手を差し伸べたのは?

コロナ禍以降、活況のゴルフコースが増えている。しかし、イギリスでは公営のパブリックコースは盛況でも、それを抱える市や街は財政難に苦しんでいるケースが少なくないという。

用地拡充のため、隣接するホイレークGCを買収したロイヤルリバプールGC。来年の全英オープンの開催地だ(PHOTO/Tadashi Anezaki)

たとえば23年の全英オープンが開催される「ロイヤルリバプールGC」のあるウィラル市もその例にもれず、市営のゴルフコースを手放す事態になった。市議会が予算を2000万ポンド(約3億3200万円)削減したことで、市営コースである「ホイレークGC」と「ブラッケンウッドGC」が、4月から休場を余儀なくされていたのだ。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。ホイレークGCは、隣接しているロイヤルリバプールGCがR&Aの支援を受け買収する予定だそう。というのも、全英オープンでウィラル市にもたらされる経済効果は1億ポンドにも上るとされ、開催のためにはホイレークGCの土地が不可欠なのだという。

「ホイレークGCは重要なインフラの一部で、ここがなければ世界的なイベントを開催することができない」と市の福祉課職員。普段は市民のためのゴルフ場として利用されるこちらは、メジャー大会を開催するために大型のテントを張ったり、駐車場スペースを確保するために欠かせないというわけだ。ならば市が補助金を出せば良いという話もあるが……。

次は「永遠に閉場となる可能性もあった」というブラッケンウッドGCのケース。同ゴルフコースは、これまでI・ウーズナムの兄弟が、無償でゴルフ場を維持管理していたが、好景気を受け、地域のグループが経営権取得に名乗りを上げたことで、現在、買収が進められているという。

ちなみにウィラル市の予算カットは、テニス施設も対象となったが、9つの屋内外テニスコートを英国のローンテニス協会が支援することで、なんとか存続しているという。

困ったときに力を発揮するのは、やはり当該競技の協会なのだろうが、ゴルフに関しては、儲かっている今だからこそ、“売り時”なのかもしれない。

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月12日号より