Myゴルフダイジェスト

【にっぽんゴルフ漫遊記】上田治のクラシックコース“門司GC”で真の腕試し

ライトアップされ、今風に言うと“映える”門司港駅。大正ロマンあふれるこの地にある「門司ゴルフ倶楽部」が今回の旅の主な目的。名匠・上田治の処女作にして最高難度とも言われるクラシックコースは、己の真の実力を容赦なく突きつけてくるのだ。

PHOTO/Takanori Miki

門司ゴルフ倶楽部 18番ホール

求ム、挑戦者。
条件は“打たれ強い”こと

日本を代表するコース設計家、上田治。彼は福岡県に4つのゴルフ場を設計している。もっとも有名なのは古賀ゴルフ・クラブだが、忘れてはならないのが上田の処女作であり、中部銀次郎ゆかりのコースとして知られる、門司GCだ。

フェアウェイは比較的広いものの、2打目を考えると、途端にフェアウェイが半分ぐらいの狭さに感じられる。そしてその先には、砲台グリーンとアゴの高いバンカーが待ち構える。

「砲台グリーンは、ミスショットを拒む。安直な転がりオンを許さない。ラック、アンラックが起こらなくなるのだ。だからこそ、攻略の面白さがある」とは上田治の言葉。 

50センチでもショートすれば砲台の傾斜を転がり落ち、左右にブレれば深いバンカーに捕まる。ティーショットも2打目も“より正確に”という気持ちが徐々にスウィングを乱していく……。腕に覚えがある人でも、ここでは10打、20打余計に叩くことも少なくないという。う〜ん、確かにわかる。

アウトは比較的穏やかに進むも、インの13番以降はハードモードに突入。一段とそびえ立つ砲台グリーン、狭いグリーン周り、強烈な打ち下ろし……、心が折れて迎えた最終18番の池がとてつもない難関に感じてしまう。

同伴のメンバーさんたちも苦戦していたが、どこかうれしそう。「何度回っても飽きないし、そのたびにはじき返されるんだけど、また挑戦意欲が湧いてくる。ここでいいスコアが出ると、すごく自信になりますしね」

打たれ強く、真の実力を測りたい猛者は、ぜひ一度挑戦すべし!

13番から襲いかかる門司GCのアーメンコーナー

13番・340Y・Par4
ティーショットは右の池を避けたいが、左に行くとつま先下がりのライに。グリーンまで右サイドのOBが浅く、2打目に神経を使う

17番・330Y・Par4
右に曲がる打ち下ろし。見えるところにティーショットを刻むか、ショートカットして狙うかの判断が難しい。グリーン左右にある高難度のバンカーは絶対に避けたい

18番 165Y Par3
フィニッシングホールは池越えのパー3。アゴの高いバンカーにガードされたグリーンは高く止まる球を要求する


門司ゴルフ倶楽部
18H・6700Y・P72

福岡県北九州市門司区大字吉志175 TEL 093-481-0711
1934年に9ホールで開場。初代理事長は出光佐三氏(出光興産)。1960年に完成した現クラブハウスは国の登録有形文化財となっている。


折れかけた心が癒される鮨の味

プレー後は一緒に回ったメンバーさんと反省会。地元で獲れた魚を堪能しつつ、ゴルフ談議を肴についつい杯を重ねてしまう

メンバーさん行きつけの鮨処「富美」。こちらはケネディ元駐日大使もお忍びで訪れ、舌鼓を打ったという門司港の名店。ご主人もゴルフ好きで、年に2回はお店の名を冠したゴルフコンペが門司GCで開催されるという。

山陰、玄界灘、周防灘など地元で獲れる新鮮な魚介、それをやや甘めのシャリでまとめ上げた小さめの握りが、口のなかでいい具合にほどけていく。うん、これは旨い! 丁寧な仕事の一品料理も愉しみながら、ゴルフ談議に花が咲く。「門司GC、難しかったでしょう」、ご主人の言葉にうなずきながら、おいしい酒と肴も手伝い、折れかけた心がじんわりと癒されていく……。

鮨処 富美
福岡県北九州市門司区栄町2-13 TEL 093-321-2459
創業73年の老舗。もともと割烹だったが2代目の現ご主人から鮨店に。地元で獲れる魚が中心。握りは小さめでネタとのバランスが絶妙。丁寧な仕事の一品料理にぐいぐい酒が進む!

炭家 なかむら
福岡県北九州市門司区栄町10-1 カドヤビル1F TEL 093-342-9754
「東京の名店にも負けない」と同席していたお客さん。素材と焼きにこだわる創業5年目の人気店「いい食材をいい炭で丁寧に焼くだけです」という店主の中村さん(写真左)。絶妙な焼き加減で提供してくれる

門司GCを回れる特別プランがある!
スターフライヤーと門司ゴルフ倶楽部が企画した「門司ゴルフ倶楽部特別プレーツアー」を実施中。この機会に難関コースで腕試ししてみては?
>>詳細はこちら

月刊ゴルフダイジェスト2022年7月号より