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クラブハウス流失からの大復活!「箱根湯の花G」ワンウェイ化で来場者増

「災い転じて福となす」。そんなゴルフ場が箱根にある。

2019年の台風19号による大雨で、観測史上最多の雨量を記録した神奈川県箱根町。土砂崩れにより鉄道や温泉施設などが大打撃を受けたのは記憶に新しい。

箱根湯の花ゴルフ場も例外ではなく、クラブハウスをまるごと土砂崩れで流失してしまった。翌年までのクローズ期間中、クラブハウスを建て替えるなどの案も出たというが、経営するプリンスホテルはその策を取らなかった。

「幸いホテルが隣接しているため、一部に受付カウンターとロッカールームを増設しました。併せてスタート小屋も新設し、プレースタイルもワンウェイとしました」(箱根湯の花G支配人・笹尾雅洋氏)

これが特に地元ゴルファーの間で好評なのだという。ロッカーなどを利用せず、車でシューズを履きかえる人も多い。食事も8番ホールの小屋で供されるそうだが、このシンプルさが受け、入場者は断然増えているという。

ちなみに同ゴルフ場は、“ただのパブリック”ではない。昭和27年、大谷光明と旧皇族の朝香鳩彦氏による共同設計で開場した。大谷は英国留学後、日本ゴルフ草創期をリードし、日本ゴルフ協会創設に尽力し、川奈ホテルGC大島C、大箱根CC、名古屋GC和合Cなどの設計にも携わった。

昭和天皇の大叔父である朝香氏は「ゴルフの宮さま」と呼ばれ、昭和天皇にゴルフの手ほどきをしたと伝えられる。かつて存在した東京GC朝霞Cの名は名誉総裁の朝香からつけられた。新宿御苑にあった天皇専用コースも朝香が大谷と相談しながら造ったと言われる。

「2人は英国のゴルフ場(リンクス)を熟知していたので、話が合ったのでしょうね。ここを回るとリンクスのテイストを感じられるのです」と話すのはJGAゴルフミュージアム参与の武居振一氏。

1度、“山のリンクス”を味わってみてはいかがだろうか。

冬季クローズになる前にぜひ!

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月16日号より