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【ゴルフせんとや生まれけむ】ダンカン<前編>「たけしさんから誘われなくなったワケ」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、お笑いタレントのダンカン氏。

前回のお話はこちら

ここ何年かコロナ禍でどこにも行けなかったでしょ。これでも事務所(TAP)の専務だから、俺がかかっちゃならんと思って、おとなしく、つつましく暮らしていたんですよ。でも、マスク生活にも息苦しさを感じていたから、どこかマスクを外して思いっきり空気を吸えるところはないかなあと考えて「そうだ、ゴルフ場がある」と。それで今年の春先からゴルフを始めました。30年ぶりくらいですね。

そう、30年ほど前、俺はゴルフをしていたんですよ。というのも、師匠のビートたけしさんと某出版社とのゴタゴタがありまして……皆さんご存じだと思いますけど……。そのゴタゴタ後、謹慎することになったたけしさんは伊豆に身を隠していました。あまりにも暇で何もやることがないのでゴルフでもやるかということになったみたいで、軍団のメンバーが交代でたけしさんの相手を務めるために東京から伊豆に通っていました。

俺もゴルフなんてそれまで一度もやったことがなかったけど、7番アイアンとパターだけ持って、たけしさんと一緒に回っていました。練習もしてないからスコアもはちゃめちゃだったし、やたらに走り回ってつらいだけで、最初は「何が面白いのかなあ」「つまらないなあ」と、イヤイヤ回っていました(笑)。

それでも何度か回っているうちに何となくゴルフらしくなってきて、コンペなんかにも呼ばれるようになりました。マスコミの人たちはゴルフ好きが多かったし、ちょうどバブルの頃だったからコンペもすごく多かったんですよ。この間なんか、家で捜し物をしていたらTBSでやっていた「風雲たけし城」のコンペの成績表が出てきたんですよ。「風雲たけし城」ですよ、懐かしいでしょう。それを見たら俺は4位で90ちょっとで回っていたから、まあまあの腕前じゃないかって。でも、そのときのことはまったく覚えていないんですよねえ。

当時は、たけしさんにもちょこちょこ連れて行ってもらっていましたが、たけしさんは上手かったからドライバーもアイアンも真っすぐ飛ぶ。俺は右に左にとボールがとっ散らかってグリーンに上がるまでフェアウェイにはいないんですよ。それでもホールアウトしてみると、スコアはたけしさんとほとんど変わらない。

あるとき、お互いにカップインしてたけしさんから「ダンカン、今いくつだった?」と聞かれて「ボギーでした」と答えたんですよ。そしたら、たけしさんが「ボギー? なんでフェアウェイにちっとも姿を見せないお前と俺が同じスコアなんだよ。おかしいじゃないか。もうそんなヤツとは一緒にゴルフしたくない!」と怒っちゃって。笑いながらだったので冗談かと思っていたら、それからはホントに連れて行ってくれなくなっちゃった(笑)。

それから自然とゴルフからは足が遠のいて、野球というか……阪神のほうにのめり込むことになっちゃったというわけなんですね(笑)。もし、あのままゴルフを続けていたら、今頃は芸能界でも一、二を争う腕前になっていたかもしれないのに(笑)。ちょっと惜しいことをしましたね。

つづく

ダンカン

1959年、埼玉県生まれ。落語家に憧れて立川談志に弟子入りし「立川談かん」として活動した後、たけし軍団に入ってお笑いタレントとなる。現在は俳優、脚本家、放送作家としても活躍する傍ら、所属事務所「TAP」の専務取締役も務めている

週刊ゴルフダイジェスト2022年12月20日号より