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【ゴルフせんとや生まれけむ】立浪耐治<前編>「香川友くんは相撲界に転向しても横綱候補です」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、 元力士の立浪耐治

前回のお話はこちら

ゴルフを始めたのは十両に昇進した年だから26歳のときだったかな。親方(大島親方・元大関旭國)に「関取になったのだからゴルフくらいやりなさい」と勧められ、いきなりコースに連れて行かれました。親方はいつも90を切るくらいの腕前で、上手かったんですよ。

初めてのコースは30年も前の話だからよく覚えていないけど、たぶん常陽CC(茨城県)だったと思いますね。フラットで広々としていて開放感がありましたね。初ラウンドの感想? 練習もろくにせずに行ったんだから、散々だったことは間違いない。でも、すごく楽しくていっぺんで好きになりました。

それよりも初ラウンドで印象に残っているのは足が痛かったこと。力士は歩くのが苦手なんです。それに足のサイズが29センチだから、合うゴルフシューズがない。元横綱の曙関は米軍基地でシューズやウェアを揃えたって聞いているけど、とにかく靴が合わなくて、歩いている間はずっと足が痛かった。それだけは鮮明に覚えています(笑)。当時は親方によく誘ってもらったほか、曙関や舞の海関、霧島関ともラウンドしました。みんなゴルフが大好きだし、上手いんですよ。

相撲界はご存じのように地方場所や巡業があって全国を回るので、地方の有名なゴルフ場もあちこち回りましたね。巡業中も休みの日はラウンドしました。親方によっては、ゴルフ場はアップダウンが多くて足首をひねったりしたら力士生命に影響すると、ゴルフ禁止令を出している部屋もあるけど、ウチは親方が好きだったから問題なかった(笑)。海外のゴルフ場もよく行きましたよ。ハワイのワイアラエCCでもやったし、ロスとラスベガスは毎年行ってゴルフしました。印象に残っているのはラスベガス近郊のWolf Creek at Las Vegas というゴルフ場。まるでグランドキャニオンの中でやっているような素晴らしい景色でしたね。

ベストスコアは関西の山の原GCで出した80です。戦略的なコースだったけど、このときは全部上手くいきましたね。我が人生、最初で最後の80(笑)。いまはもう90を切るのに必死ですよ。ただドライバーの飛距離はなぜかいまのほうが飛ぶ。だいたい260ヤードくらい飛びます。昔はとにかくよく曲がった。ブーメランみたいに曲がったからね(笑)。いまは真っすぐ飛ぶ。道具も進化したんでしょうけど、自分的には力の入れどころが少しわかってきたのかなって思っています。

あ、そうそう。ちょっと前にプロのトーナメントにも出場しているスーパージュニアゴルファーがウチの部屋に体験入門したんです。香川友クンという14歳の少年で、相撲の四股がスウィング中の下半身の安定にいいから習いたいと一日入門したんですけど、どういう形であれ、相撲がそんなことで若い人たちとの接点になってくれるといいなと思っています。それにしても香川クンは身長170センチで体重96キロ。堂々とした体格で、相撲界に転じてくれたら間違いなく将来の横綱候補。ゴルフやめてウチの部屋においでよとノドまで出かかりましたね(笑)。

後編へつづく

立浪耐治

1968年生まれ。大相撲の力士時代は旭豊のしこ名で活躍。すらりとした長身で俳優の松平健に似た顔立ちから角界の暴れん坊将軍と呼ばれ、人気を集めた。最高位は東小結。1995年に引退。年寄・立浪を襲名して現在に至る。愛知県春日井市出身

週刊ゴルフダイジェスト2022年12月6日号より