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【ゴルフ野性塾】Vol.1757「己を変える機会は試合に在る」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

いつの間にか秋、それも晩秋の

秋が近付いて来た。
今日11月2日、水曜日。午前9時43分。
15階の部屋から眺める東と南の空、横に広がる雲が切れ間なく続く洗濯日和の一日の訪れである。
私は午前9時15分に起きた。
女房は新しい洗濯機が余程気に入ったのか、晴れたる朝の空であれば家の中を粗探しして洗濯しようとしている。
大型の洗濯機である。
12キロ迄は一度で洗える代物故、毛布もシーツも洗濯の対象になって行く。
今朝、私が洗面所で顔を洗ったのは午前9時25分。
起きて10分後だった。
女房が洗面所に来た。
「一晩着た下着は洗いましょうネ。やっぱり着る物総て清潔でなきゃ男っ振りも上らないでしょ。何かが起きた時、例えば自転車にヒッカケられたとか、横に広がって歩く人にブツカッたとか、何が起きるのか分らないのが秋と冬の歩道ですからネ。動作が鈍いと注意されたり、文句言われたりするのはイヤでしょ。何事も注意1番、警戒2番、3番が予測で4番が歩道の端を歩く事。ハイ、これは都会に住む人の常識です」
「歩道は歩く者の道だ。自転車に乗る者は遠慮すりゃいいだけの話だろう。痛い想いするのがイヤで、周りに迷惑掛けるのがイヤだったら歩道の端を歩けとゆうのはチョット違う気がする。確かに秋、それも晩秋の歩道を走る自転車のスピードは上っていると思うが、遠慮して走るのはイヤだ」
「我儘言わないで下さい。75歳には75歳の遠慮と気配りがあるんです。そして、一晩着た下着は洗濯します。脱いで下さい。洗濯機もベランダの物干し竿も待ってるんです」

前の洗濯機が壊れた。
ベスト電器に行って、今度は12キロの洗濯機を購入した。
でっかい洗濯機だった。
そして、電気代、水道代、洗剤はこれ迄の洗濯機の3分の1で済むと言う。勿論、乾燥機も使える洗濯機である。
いつ、洗濯に飽きるのかと思う。ただ、その時期、近い話ではなさそうだ。
便利になった。
安全と便利さが遠のいたのは歩道だけである。
5日前、はなみずき通りとけやき通りの交わる三差交差点、車誘導の信号も人を誘導する信号も赤になってたのに、突然、けやき通りの歩道から自転車が交差点に突っ込んで来た。
そして斜めに走り、上り車線のド真中を突っ走って行った。
ママチャリで走っていたが、危ない走りと思った。車が交差点に突っ込んで来たら事故間違いなしの暴走自転車だった。

現在時、午前10時43分。
女房殿の洗濯は終った様だ。
「干すの大変だろう。5日に1回、回しゃいいんじゃないのか。乾燥機使えば手間暇要らずだ」
「洗濯と掃除と料理は、何も出来ない私みたいな主婦にとっては趣味です。私の趣味、邪魔しないで下さい」
「趣味ですか。だから洗濯は毎日、掃除は2日に1回、料理は朝昼晩の3食、手の込んだ料理、作ってるんだ。感謝してます」
「私こそ感謝してますわ。ただお願い一つあり。歩道歩く時は端を歩いて下さい。ともかく、10年前と較べて自転車のスピード上ってるのは間違いありませんからネ」
「確かにそうだな。車も自転車も走行音、低くなってるし、危険一杯の歩道になって来てる様な気はする」
「自転車で危ない走りする人は若い人ばかりじゃありませんよ。30歳過ぎの主婦も子供乗せてない時は結構なスピードで走ってますもんネ。危険察知して逃げるのが歩行者とは思わないけど、逃げる回数、増えて来た様な気はするなァ。自転車と歩行者の距離、10センチない時もありますからネ」
「注意するよ。歩道の端を歩けばいいんだな?」
「そうです。それで私の心配事、なくなります」

体・技・心は試合で鍛え抜かれる


長男雅樹は10月17日、福岡から兵庫県の西宮へと向った。
そして、17日の夕刻から大手前大学ゴルフ部の指導を始め、23日の日曜、石川県片山津GCで行われる常陸宮杯全日本大学選手権リーグ戦に出場の為、車で片山津へ向った。片道3時間50分の旅だった。
結果を申す。
男子は全国10位、女子は全国5位だった。
6月の大会は男子12位、女子3位であり、その辺りの順位が大手前大学ゴルフ部の力量かと思う。
そして、昨日11月1日、新しく作られた全日本大学ゴルフスーパーリーグ戦が兵庫県の三木GCで開催された。
初日終って大手前女子は個人団体ともトップだった。
男子は団体戦6位、個人戦13位であり、驚きも嘆きもない順位であった。
今、11月2日、午前11時17分。
前半の9ホール終えてる頃だが、大手前大学ゴルフ部監督の長男雅樹からの連絡はない。
悪い時は連絡して来る。
いい時は連絡なしである。
昔からそうだった。
自分の試合、悪い時は電話して来たし、いい時は連絡なしの習慣、今も続いている。
この後、文部科学大臣杯ゴルフ王座決定戦が宮崎レイクサイドGCで行われ、それで今年一年の大学の試合は終りだ。個人戦である。
大学の試合、増える程に大学生のゴルフ技量と精神力は逞しさを増す。
試合が体・技・心を作る。
日頃の練習で作られる体・技・心は弱きものであった。
大学の試合の数は増えた。
私がプロを目指す18歳であれば大学に行く。
己を変える機会は試合に在りだ。
高校卒業してからの研修生生活に試合の数、幾つあるのだろうか。
多分、プロテスト予選と本戦だけと思う。あとはお金を出し合っての賭け試合だけであろう。
生きる勢い、戦いの勢いが違う。
緊張と恐怖への対応は試合が教えてくれるものだ。

雅樹からの連絡はない。
現在時午前11時37分。
東と南の空の雲が消えている。
それでも横へとなびく筋雲浮んではいるが、雲の多さは5分の1、雲の色は淡くなって来た。
女房殿が私の朝食を作り始めた。今日は暖かそうだ。
食事の後、歩道の端を歩いて大濠公園へ行きます。
大濠は自転車と人走る道と人歩く道が分けられているので、危険な散策道と思考思念道ではないと思う。
東と南の空に浮かぶ雲の量、減って来た。
雲が空の中に消えて行く。
中秋過ぎて晩秋か。
そしてすぐに初冬が来る。
雅樹が福岡に帰るは11月6日の日曜日。新幹線で帰って来る。
11月4日は神戸塾生を指導し、今年最後の21日間の指導の旅が終る。
5日の土曜日は安田祐香を指導した後、福岡に戻って来る。
来年4月、大手前大学ゴルフ部員の数は50人を超えると思う。
いい事だ。
雅樹からの連絡はまだ来ない。
女子、個人も団体も接戦に突入したか。
体調良好です。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2022年11月22日号より