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なってみなけりゃわからない!? ゴルファー最大の難敵「イップス」【明日使えるゴルフ用語】

普段当たり前のように使っているゴルフ用語だが、その成り立ちや意味を問われたときに、正しく返せるだろうか? ここではラウンド中の会話やゴルフ仲間とのやりとりで使える、ゴルフ用語にまつわるうんちくを紹介する。

「決めて当然」のパットのはずが……


イップス【yips】


ショートパットを打つ際に、一時的に極度の緊張状態に陥り、スムーズなパッティングストロークができなくなるという「病気」にも似た症状がある。これを、イップス(Yips)と呼ぶ。

イップスはゴルフに限った話ではなく、野球やテニスなど、あらゆるスポーツでみられる職業病とでもいうべき症状で、一度発症すると簡単には治せない、スポーツ選手にとって命取りともいえる厄介な代物だ。

ゴルフにおけるイップスの典型的な症状は、1メートルにも満たないパットを、グリーンの外に出るほど強く打ってしまったり、反対に半分も転がらないような信じられないミスが出るというもの。他のショットは一切問題がないのに、いざグリーン上で短いパットを打つ段になると、突然腕が動かなくなったり、意図する動きとはまったく違うストロークをしてしまうのだ。

こうした症状はパッティング以外で起こることもあり、ドライバーイップス、アプローチイップスなどと呼ばれたりする。プロや競技アマなど、ゴルフを長く、そして真剣に取り組む人ほどイップスにかかりやすく、とくに一打一打に生活がかかったプロは、ふとした1打がきっかけでイップスの症状に陥り、成績を落として第一線から退いてしまうというケースも少なくない。

現在第一線で活躍している選手でも、イップスに似た症状を密かに抱えながら、ごまかしごまかしプレーをしているようなケースもあり、ベテランともなると、イップスと上手く付き合いながら自分の得意分野でそこそこのスコアを出してくるような選手もいる。

女子プロの服部真夕などは、アプローチイップスを公言しつつ、悩んだ末に“左打ち”でのアプローチに活路を見出し、ついには昨年ステップ・アップ・ツアーで復活優勝を果たしてしまった。

完治は難しいが、古今東西あまたのプレーヤーが、イップスと向き合い、乗り越えてきたのである。

ちなみにイップスという言葉を最初に使ったのは、1920~30年代に活躍した名手、トミー・アーマーだと言われている(英語の「Yips」はもともと「うわっ」「きゃっ」といった叫び声を意味する)。アーマーは、イップスがどういうものか問われて、“Once you’ve had ‘em, you’ve got ‘em”(なってみりゃわかるさ)と答えたという。

イップスにかかったすべての人の気持ちを代弁した表現といえよう。

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