Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • 週刊GD
  • 【ゴルフせんとや生まれけむ】齋藤明雄<後編>「野球では縁のなかった“優勝”目指します!」

【ゴルフせんとや生まれけむ】齋藤明雄<後編>「野球では縁のなかった“優勝”目指します!」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き元プロ野球選手の齋藤明雄氏。

前回のお話はこちら

ベストスコアは73です。現役を引退してすぐの時だから94年か95年だったかな、厚木国際で出しました。その日は朝からそんなに調子が良かったというわけではなかったんですよ。でも、神がかっていたというのかな、ティーショットを大きく曲げても木に当たってフェアウェイど真ん中のベストポジションに戻ってきたり、寄ればいいやと思ってあまり考えずにポンと打った10メートルくらいのロングパットが入ったりとか、やることなすこと全てがツイていました。まあ、運も実力のうち。そんなことでもないとなかなか70台、それもパープレーに近いスコアは出ないですからね。あの時だけはゴルフの神様に感謝しました(笑)。

自慢にはならないかもしれませんが、僕はゴルフを始めてから今までコーチやインストラクターに習ったことは一度もありません。何もかも全くの自己流です。何しろ、現役時代にはピッチングに関してコーチにああでもない、こうでもないといろいろ言われるじゃないですか。だから「ゴルフくらいは自分の好きなようにやらせてよ」という気持ちが強かったんですよ。誰かに習おうなんて考えもしませんでした。


でも、一度だけ数年前にマルハンのシニアの大会のプロアマに出た時、一緒に回らせていただいていた髙橋勝成プロが僕のドライバーショットを見て「一言だけいいですか。下半身の動きは完璧ですけど、腕の使い方がよくないから力のないフェードボールになっちゃうんですよ」と言われて、その場で腕の振り方のポイントを教えていただいたことがあります。それでさっそく次のホールで今教えていただいたばかりのアドバイスを意識して振ったら、自分でもビックリするくらいの強い球筋のほれぼれするようなドローボールが打てたんですよ。さすがに一流のプロは違うなあと感心するとともに、こんなことなら若い頃にちゃんとレッスンを受けておけばよかったかなとも思いましたね。

前回でもお話ししたように僕はあまりスコアにはこだわらず仲間と楽しくプレーできればそれでいいと考えるほうなので、オールボギーでいいやといつも思って回っています。そうすれば90で上がれて、うまくいければパー5で2つ、パー3で1つ稼げれば80台で回れるじゃないですか。ところがコースに出ると、やっぱり欲が出て力んで、ミスしちゃうんですよね。そして、そのミスを取り返そうとするとさらにミスをしてしまう。ホールアウトした後に「8番ホールのドライバーの引っかけがなかったらなあ」とか「あの短いパットが入っていればなあ」と反省することが多いですね。その意味でいうと、野球でも「あの1球がなければ」「フォアボールがなければ」と“たられば”が多いじゃないですか。僕が野球といいゴルフといい“たらればスポーツ”にハマったのはそれがあるからこそ面白いからでしょうね、きっと。

最後にゴルフの夢をひとつ。大きなコンペで優勝したい! 野球では17年、現役を続けましたが、一度も優勝の美酒を味わえなくて。「優勝」の2文字にはこの歳になってもものすごい憧れがあるんですよ(笑)。

齋藤明雄

1955年、京都府生まれ。花園高校時代に春の選抜大会出場。大阪商業大からドラフト1位で大洋ホエールズに入団。8勝を挙げ新人王に輝く。現在は野球解説者として活躍

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月29日号より