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【ゴルフせんとや生まれけむ】齋藤明雄<前編>「ロッカールームでゴルフ観戦」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回からの語り手は、元プロ野球選手の齋藤明雄氏。

僕にとってゴルフの魅力といえば気の合う仲間たちと和気あいあい、1日楽しくプレーできるということ。何はともあれ、それに尽きますね。だから、スコアなんて二の次、三の次でどうでもいいんですよ。とはいえ、まあ、ちょっとは気になりますけど(笑)。

クラブを初めて握ったのは大洋ホエールズ入団5年目のシーズンオフ。プロの水にもすっかり慣れて気持ちにも余裕ができていた頃、チームのエースだった平松(政次)さんに「おい、お前もそろそろゴルフをやれよ」と声をかけてもらったことがきっかけでした。平松さんは今でもお上手ですが、当時はすごくパワフルで「プロとやっても勝てるんじゃないか」というぐらいの腕前でした。ほかには松原(誠)さん、山下(大輔)さん、田代(富雄)さんなどレギュラークラスはみんなゴルフにハマっていましたね。その頃はジャンボ尾崎さんや青木功さん、中嶋常幸さんの全盛期。試合前の練習が終わると先輩たちは皆、ロッカールームでゴルフ中継を食い入るように見ていました。それぐらいチームのゴルフ熱は高かったです。


というわけで、何しろ大先輩の平松さんの命令ですからね(笑)、すぐに道具を揃えて練習場に2、3回行きました。そして、記念すべき初ラウンドはいきなり名門の横浜CC。選手と裏方さんたちとの親睦コンペでした。いやあ~、めちゃくちゃ叩きましたねえ(笑)。途中で数えるのがイヤになってやめちゃいましたけど、160ぐらいは優にいっていたでしょうね。何せドライバーは当たってもボールがどこに行くかわからないし、アイアンは空振りや地球を掘るような大ダフリの連続なんですから、スコアがまとまるはずはありませんよ。

でも、同伴の人たちが優しくフォローしてくれたので、ゴルフを嫌いになることもなくすぐに僕もその面白さに夢中になってしまいました。でも、もちろん現役ですから、シーズン中はさすがに行けません。シーズンオフになってからキャンプインするまでが僕にとってのゴルフシーズンということになりました。残念なことに当時の大洋は万年Bクラスの弱いチームでしたから日本シリーズには縁がなく、しかも当時はクライマックスシリーズもなかったので秋季練習はあったものの、他の球団よりもシーズンオフがとにかく長かったんですよ(笑)。それで、オフともなると週に4、5回はゴルフに行っていました。それも行けば絶対に2ラウンド回りますから最低でも週に8ラウンド! もう親の仇のようにやっていましたよ。

当然ながら、それだけやっていればさすがに上達していきます。でも、これは“野球人あるある”なんですけど、集中的にやって上手くなってきたかなと思うとシーズンオフが終わって本業の野球に戻らなくちゃならないんですよ。すると、翌年は去年できたことをすっかり忘れていて、また一からやり直し。振り返ってみると、ずっとこの繰り返しでしたけど、この年になるまで続けてきたところをみると、僕はホントにゴルフが好きなんだなあと思いますね。もちろんこれからもずっと続けていきますよ。

齋藤明雄

1955年、京都府生まれ。花園高校時代に春の選抜大会出場。大阪商業大からドラフト1位で大洋ホエールズに入団。8勝を挙げ新人王に輝く。現在は野球解説者として活躍

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月29日号より